君にも書ける!! かんたん小説執筆ガイド


 なんだこの怪しげな新書みてえなタイトルは。


 今日は、普段僕がどういうふうに小説を書いているか、その考え方を紹介しようと思います。

 カクヨムにいる方には自分でも書いてるという人が多いかとは思いますが、もし中に「書いたことないけど書いてみたいなー。でも難しそうだなー」とか思っている人がいましたら、ぜひ参考にしてみてください。


 このやり方でなら、案外、かんたんに書けてしまうんじゃないかと思います。



■主人公を作ろう

 まず最初に手を付けるのは、主人公の作成です。


 どんな人物でも構いませんが、なるべく動かしやすい人物にすると、あとが楽です。


 たとえば、作者自身に年齢・性別・立場などが似ている主人公は、鉄板中の鉄板。

 それ以外にも、「こんな人に憧れる!」「こんな人になりたい!」みたいな人物もいいですね。


 名前、容姿、趣味や特技、仕事、能力、好きなもの、嫌いなもの……などなど、思いつく限りの設定を考えてあげてください。


 このとき、ひとつだけ絶対に必須の要素があります。

 それは主人公に「欠落」した部分を作ることです。


 「欠落」とは、文字通り主人公に欠けているものを指します。

 まあ「欠落」なんていうと大仰ですが、何でも良いのです。実例をあげると、


・恋人がいなくて寂しい。

・仕事がうまくいかない。

・貧乏だ。

・ここじゃないどこかへ行きたい。

・自分には力が足りない……


 などなど。

 主人公は自分の「欠落」した部分に強く心を惹かれており、その欠落をと思っていなければなりません。

 上の例に対応させて言えば、


・素敵な異性を見つけた。あの人の心を射止めたい!

・スキルを上げて仕事で実績をあげたい!

・一攫千金!

・自分の本当の居場所を探しに行きたい!

・師匠の元で修行し、俺は強くなる!!


 などという具合。

 この「欠落」から「渇望」、そして「充足」に至る流れが、そのまんまストーリーの本筋になります。

 最終的に「欠落」が「充足」すれば、典型的なハッピーエンドです。


 というわけで、このような条件のもとで、主人公を作ってみてください!



■ストーリーの流れを作ろう

 ちまたで出回っているストーリーには、一定の型があります。

「ああなって、こうなって、次にそうなって、最後はこう……」という物語の型は、昔から研究の対象となっており、現代では実用的な型がいくつも発見されています。

 起承転結、序破急、三幕構成、ヒーローズ・ジャーニー、行きて帰りし物語……などなど。興味がある方は調べてみるのも面白いと思います。


 それらに共通するのは、「特定の順番でイベントが起きると、人は物語を面白いと感じる」という、かなり根源的な理屈です。

 ここではひとつ、さきほど作った主人公を動かすための、シンプルな型を例示してみたいと思います。

 これは僕が「勇者の後始末人 https://kakuyomu.jp/works/1177354054883238639 」を書くために独自に構築した型であり、あの話の多くのエピソードはこの型に沿って書かれています。


(1)『主人公』登場。主人公の『欠落』が何なのかを書く。

(2)主人公は「欠落を埋めたい!」と『渇望』し、『行動』を開始する。

(3)主人公の行動がいったん『上手くいく』。

(4)しかし、主人公は『新たな壁』にぶちあたり、『失敗』したり、足を止めてしまったりする。

(5)主人公は『立ち直り』、失敗への『反省』を踏まえて、再び『行動』を開始する。

(6)見事に欠落を『充足』させ、ハッピーエンド!


 こんな感じです。

 この型に沿って具体的な内容を埋めていけば、それだけでプロットが出来上がります。

 『』内に記した項目は、作者が考えるべき具体的な内容です。

 『主人公』はどんな人? 何が『欠落』しているの? 何を『渇望』し、そのためにどんな『行動』をする? それがどのように『上手く』いき、どんな『壁』にぶつかることになる……?

 と、こんな具合に考えてみてください。


 こうして出来上がったプロットは、そのままでも最低限小説の形にはなります。

 好みに合わせて細かいところの描写を肉付けしていけば、さらに小説らしい小説になるかと思います。


 ね! どうですか! 簡単でしょう!?



■実践!!

 では、この不肖外清内ダクが、このスタイルに沿って実際にプロットを組んでみます。


(1)

 主人公はアメリカの街に住む少年。

 彼は力が弱く、いじめられっ子で、そのために好きな女の子ともうまくいきません。

(2)

 主人公は、強くなりたい! と渇望します。

(3)

 主人公の家の近所には、怪しげな東洋人のおじいさんが住んでいました。実はおじいさんは東洋の神秘的なマーシャルアーツ「カラテ」の達人でした。

 主人公はおじいさんに弟子入りして、強くなるための修行を開始します。

(4)

 しかし、師匠からは、車のワックス塗りや壁のペンキ塗りなどの雑用ばかりを押し付けられます。

 僕はカラテを習いたいんだ! とキレる主人公。

(5)

 そのとき、師匠が主人公にパンチを打ちます。主人公は、華麗な手の動きでそのパンチを払いのけることができました。

 実は、ワックス塗りやペンキ塗りの手の動きの中に、カラテの型が組み込まれていたのです! 主人公は雑用をしている間に、ちゃんとカラテを身に着けていたのでした!

(6)

 主人公は、いじめっ子とカラテで対決し、見事勝利を掴みました!

 めでたしめでたし。


 どうでしょうか。

 このように、簡単にストーリーを構築することができましたね!











「ベスト・キッド」じゃねえか!!!!!!!

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