2023年4月

4/1 ダンジョン&ドラゴン


『Dungeons & Dragons』

 というゲームを知ってますか?

 「知らない」という人も少なからずいるでしょうから説明します。

「ドラクエ」「FF」に代表されるRPG、その元祖となったゲーム……つまりは世界最初のRPG! それが「ダンジョンズ&ドラゴンズ(略してD&D)」なのです。


 プレイヤーは戦士ファイター魔法使いソーサラー盗賊ローグなどのキャラクターになりきり、仲間たちとパーティを組んでダンジョンを攻略したり、事件を解決したりする。

 コンピュータがまだ一般的でなかった時代……紙に書いたマップと、小さなコマと、ダイスによる乱数を用いて、誰もがファンタジー世界での冒険に没入したものでした。


 このようなタイプの古典的RPGは、コンピュータRPGの普及後、区別のためにこう呼ばれるようになりました。

 テーブルトークRPG――「TRPG」と。



   *



 唐突に何の話だ? っつうとですね!

 公開されたんですよ! つい昨日(3/31)! D&Dの映画版……「ダンジョンズ&ドラゴンズ アウトローたちの誇り」が!!


 そしてこれが!!

 面白えんだよ!! 普通によ!!


 D&Dのモンスター、魔法、アイテムが次々に登場し、主人公たちが悪徳領主の財宝を盗み出すために繰り広げる冒険の数々。

 幾多のピンチを知恵と工夫と力押しで乗り切り、軽口を叩き合いながら突き進んでいく明快なストーリーは、さながらアクション映画のお手本のような手堅い出来栄え!

 作中に登場したあらゆる要素が片っ端から伏線として機能していくさまは痛快そのもの。安心して最後まで見ていられます。


 なによりTRPGプレイヤーとして嬉しかったのは、映画の中のキャラクターたちの言動が、ちゃんと「TRPGのプレイ風景」を再現してることなんですよね。


 TRPGをプレイしたことがある方なら実感が湧くでしょうが、このゲーム、遊んでるうちにプレイヤーが打ち解けてきて、ゲームに絡んだ冗談が実に弾むんですよね。


 くだらないジョークで笑い合ったり。

 ゲームキャラの奇妙な言動に茶々を入れたり。

 ダイスの不運でやらかしてしまった大失敗に悲鳴を上げたり。

 手元にあるアイテムの思いもよらぬ活用法を見つけだし、凶悪なはずの敵を完封してみたり。


 TRPGプレイヤーなら誰もが味わったあの感覚を、映画の中で見事に再現している。

 正直これは感服しました。


 見ているとね!

 遊びたくなってくるんですよ!

 D&Dを……

 そしてTRPGをね!!


 2時間余をかけた壮大なTRPG讃歌! それが「ダンジョンズ&ドラゴンズ アウトローたちの誇り」なのです!!



   *



 ……で。

 今ほんとに、ホッとしています。

 何に? この映画が面白かったことに。


 なんでかって? それはね……


 初めてじゃないんですよ。D&Dの映画化。

 あったんですよ。実は。昔。

 なぜか「ズ」を抜いた「ダンジョン&ドラゴン」というタイトルで!!

 映画化されたことがッッッ!!


 それがッッ……正真正銘ッッ……

 超弩級のクソ映画だったんだあああああ!!


 普通、評価が低い映画と言っても、あるじゃないですか? 「ここの映像は良かった」とか「このキャラは好きだった」とか、美点が、一つか二つくらいは。

 それが!

 ねえんだ!

 最初から最後まで満遍まんべんなく! 抑揚もなく! ただ淡々と退屈!! そういうタイプの「アレ」!!


 往年のファンがどれだけ「アレ」にがっっっっかりしたか!

 俺だってげっっっっそりした者の一人!

 その呪いが今、「アウトローたちの誇り」によって解かれた! 胸を張ってオススメできるD&D映画がついに誕生したんだ! それがもう俺ァ嬉しくって嬉しくって……!



   *



 というわけで、映画「ダンジョンズ&ドラゴンズ」、D&Dプレイヤーは絶対観てほしい!

 そうじゃなくてもファンタジーRPGが好きなら観てほしい!!

 頭空っぽにして楽しめる、娯楽アクションファンタジー映画でした!!!


 間違って「ダンジョン&ドラゴン」の方を観るんじゃないぞ!! 興味本位で観るようなもんでもないからな!! マジで!!

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