わたしNTRれたうえに調教されちゃいました!?

百日紅

第1話

「はぁぁ〜〜〜〜〜〜〜!最近タッくんがわたしのこと避けてる気がするぅ〜!どーしてー??」


 わたしはそう独りごちて机に突っ伏す。

 タッくんとは、高校一年生の夏休み前に付き合って今年でもうすぐ一年目になりそうな、わたしの彼氏です。


 高校二年生になって別々のクラスになってしまってから、どうやらタッくんの様子がおかしい。トークアプリの返信も、昨年は必ず一時間以内には返ってくることが当たり前だったのに。今では二日に一、二回。よくて一日に一、二回程度。これは、もしかしてタッくん、わたしに内緒で別の女の子と親しくしている可能性もあるのでは………?


「そんなのや〜だぁ〜〜」


「また、いつにも増して騒がしいですなぁマシロちゃまは」

「まぁ、マシロはこの元気さがデフォルトだからねー」


「少しはなぐさめてよ!!?」


「あーはいはい」「可哀想でちゅね〜」


「扱いが雑だよぉ」


 わたしはこのクラスの大半の人たちから『マシロ』って呼ばれてますっ。彼氏のタッくんからは、なんの由来だか分からないけれど『アトム』って呼ばれます!こんな呼び方をしてくれるのはタッくんだけ。


 タッくんはいつも、わたしに「お前は特別」って言ってくれて………えへへ。けっこうお金遣いが荒いところは玉に瑕だけど、強くてカッコよくて、わたしにとって初めての彼氏が、タッくんで良かったって思う。


 だからこそ、


「なにか気に触るようなことしちゃったのかなぁ?」


 気にならずにはいられないのだ。


「なんか心当たり無いん?」

「いや、ただ単にもうATMの役割を―――」

「ストーップ!それをマシロちゃまの前で言うのはNGだよ!!??」


「ん〜、なんだろ?春休みにデートした時、ホテルに行こって言われたんだけど、お姉ちゃんが夜ご飯作って待ってるからって断って帰っちゃったことかなぁ?でも、それくらいでぇ?さすがに無いよね??」


「………はっ?」「ホ、ホテ、ホテル?」


「うん?うん」


「いやいやいやいや、マシロちゃま、アイツにホテルに連れ込まれそうになったの!?」

「マシロ、行かなくて正解。ほんっとーにいい子いい子。ちょっと私は今からあのクソ野郎のところに行ってくるわ」


「え、えぇ?なに、どーゆーこと?タッくんが寂しいから夜も一緒にわたしといたかっただけじゃないの?」


「あー!ほんっとにもう!これだから純粋ちゃんは危なっかしい!!」

「マシロ、これだけは約束して。男はみんな狼なの。絶対に男と二人きりでホテルなんて行っちゃダメ。わかった?」


「わ、わかりました……」


 わたしはこれまでに見たことのないほどの親友二人の鬼気迫る表情に圧を感じて、コクコクと頷いて返事をした。

 とにかく、あの時にホテルに着いていかなかったことは、なにやら正しい判断だったらしい。いやまぁ、お姉ちゃんが夜ご飯を作ってくれていなかったら、多分わたしはあのままホテルに行ってしまったけれども。


 こ、今度からは気をつけよう。


 親友二人は今もコソコソとわたしに聞こえないような声量で何かを話し合っている。


「マシロちゃまがATMにされてることはわかってたし、これも人生経験かな、って思ったからマシロちゃまが自分で気づくまでは敢えて何も言わなかったけど………」

「あぁ、あのクソ野郎、話が違ぇな。マシロの体には指一本触れるなって通告しといたのに、軽々と破ろうとしやがった。ただじゃあ置かない」


 何を話しているんだろう?


 親友二人は話し合いが終わったのか、わたしに改めて向き直り、アドバイスをわたしにくれた。


「マシロちゃま、もういっそのこと女の子にNTRれてみれば?」

「マシロが男を好きにならなければ、私たちも安心できるし」


「ね、ねとら……なに?ど、どういう意味なの?」


「んーとねー、まぁ、意味はわかる人にはわかると思うけど……」

「とりあえず、ものは試しに、騙されたと思ってマシロはSNSで『誰か女の子でマシロを寝とってくれる方、募集中♡』ってうて」


「えっ、強制?」


「そう。今すぐ、早く、この場で、うって」

「まぁ、マシロちゃまの安全が確認できないと、私たちも安心してアイツをぶちのめしに行けないからねぇ」


「ね、NTRっていうのが何かは分からないけど、『あーちゃん』と『めーちゃん』にその、わたしをNTRってもらうのは、ダメ、なの?」


「は?誘ってる?」「マシロ、私たちの抑止力にも限界がある」


「?? じゃ、じゃあとりあえず、SNSっていうのは学校の生徒専用の掲示板とかでも良いんだよね?あまり知らない人とか来ても怖いし」


「うん。むしろ掲示板のが良いね」

「この学校内だったら、私たちも見守ってあげられるし」


「おっけー!」


 わたしはスマホで学校の生徒専用掲示板に、言われた通りに書き込んだ。



『誰か女の子でマシロを寝とってくれる方、募集中』



 この時、わたしたちは気づいていなかった。

 わたしの隣の席の地味子ちゃんが、こっそりとわたしたちの話の一部始終を盗み聞きしていたことも。

 わたしの掲示板に書き込んだメッセージを見て、ニヘラと口元が緩んでいたことも。


 そして、その地味子ちゃんの長い前髪とマスクで隠された素顔が、超絶美少女だということも!!


━━━━━━━━━━━━━━━


どうも、初めましての方ははじめまして。

みさきです!


この度は本作品を見つけてくださり、そして読んでくださり、ありがとうございます。


この作品は、目標15話あたりで完結する作品です。

よろしければ、フォローやレビューなどをしていってくださると嬉しいです。

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