「監獄」を追放され、自由を与えられた第三公子と従者の行く末とは……!?

その醜い容姿によって実兄や従者らに虐げられ、鬱屈とした日々を過ごしていた心優しくも不器用な青年──伯爵家第三公子・レオンシュタインと、弱い立場が故に彼よりも遥かに壮絶な加虐行為に苦しめられていたメイド・ティアナは、些細なきっかけで彼らにとって「監獄」とも言うべき家を追放され、自由を手にした……。

(以下、第1章:旅立ちを読了後の感想です。)

まずは言葉選びが繊細かつ丁寧で、文学的センスを直に感じ取れることのできる地の文が好きです。時流に沿った「追放モノ」であり、定石を踏襲しつつも、オリジナリティ溢れる独特な世界観と、ルッキズムに対する風刺的な要素も相俟って「異世界ファンタジー」とは銘打ってあるものの、非常に現代的で、個人的に序盤から考えさせられる内容となっておりました。

何故ティアナが言葉通り「仮面」をしているのか?
(「魔力で作られた」とあるが、そんなことが可能なのか。「魔力」なるものの汎用性や如何に)

一般人は武器を使って物理的な戦いに挑むような世界で、彼女のようなしがない従者が魔法を使えるのは?
(大魔導士の娘だというのが本当だとして、虐げられていたのは仮面だけが理由か)

レオンシュタインが父にすら冷遇されていたのは本当に容姿だけが原因か?
(彼自身にも何かしらの原因がないと「外見が醜い」というだけで、従者にすら見下されてしまうのは流石に……)

などなど、様々な疑問が頭の中を渦巻く、忙しい序盤でした。「伏線」と言われてしまえばそれまでなのですが、この辺りに関する情報は小出しにしていってくださった方が読者側の理解が促進され、以後の展開に期待感が持てるかなとも思いました。これは一個人の好みによる感想なので、ご容赦くださいませ。

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