第10話

ダンテは街の外へと車を走らせた。


「シャロン、そこのポケット開けてみ。」


車のポケットから手紙をシャロンは取り出した。


「何なの?これ。手紙??これがどうしたの?」


「重要な手掛かりだ。」


封筒を開け、シャロンは手紙を読む。




ダンテ、あなたが生きていると聞いて驚いた。まだ上手く言えないけれど、あなたは運命の子。世界を救う鍵を持っている。私を、リーベッドの暴走を止めるのはあなたしかいない。




差出元が書かれていない手紙。


「ダンテ、これが重要な手掛かりなの?ええ、ちょっと怪し過ぎないー?誰から送られてきたのかも分からないじゃな〜い。」


「その手紙、切手があるだろ。それは昔、ユス地方しか使われてないものだ。それに、今このタイミングで送られてきた。恐らくリーベッドの関係者なのか、分からないが調べてみる価値があるだろう。罠だったら、まあ、その時考えよう。」


「お、調査ねー!」


シャロンはウキウキとした笑顔を浮かべた。

ユス地方はアーケバス街から約120km。

殆どが荒野であり、二十年前、原子力発電所が爆発し人口は無いに等しい。


「ねえダンテ、あなたが世界を救うってどういう事なの?」


「それを確かめる為にもだ。目的地はかなり遠い。ユス地方は狭いのがまだ良かったが、その分、人もいない。あるのは原子力発電所くらいだ。なぜそんな場所から、俺宛てに手紙が届くのか。」


暫く車を走らせ50km地点。

二人はドライブスルーに立ち寄る。

ガソリンを入れるダンテをよそに、シャロンはフードコートを覗いた。


「ごめーんくださーい。」


人気がない。中は掃除されておらず、営業の気配が全く無かった。


「誰もいないのー?ん、ホコリっぽいわね。」


「いるぞ。」


シャロンの真後ろに老人が立っていた。

シャロンは悲鳴をあげた。ダンテは銃を構え向かった。


「あー待て待て、若者や。ただのおいぼれ経営者だ。」


老人はドライブスルーの管理人だった。

ダンテは銃を下ろし老人に詫びる。


「全く、おっかない世の中だ。君みたいな柄の悪い高級車が、よくこの道を通る。だから私は奥へ隠れているんだ。」


「その話、本当ですか!?」


「??そう、アーケバスとユス地方を行き来するようにな。なんだ、君の知り合いの連中か。ユス地方なんて何もない荒野だ。原子力発電所が爆発し、今では国にも放っておかれている、、、」


ダンテは話を整理しようと爪を噛んだ。


「ダンテ?どうしたの?お腹痛いの?」


「シャロン、やはりリーベッドはユス地方で何かを企んでいる。車に戻るぞ。」


その途端、外で爆発が起きた。

何事かと三人、外を覗くと車が燃えていた。


「、、、何!?ダンテ、敵襲??」


ダンテと老人は目を合わせた。


「おい、ダンテとかいう青年や。お前、ガソリン入れっぱなしだったのか?」


「、、、ふー。やっちったか。」


シャロンはダッサと呟く。

老人は外へ出ていき、ドライブスルーの裏へと向かった。

老人はヨイセヨイセと、バイクを運んできた。


「青年よ。脅かしたワシにも責任はある。これに乗っていきな。ワシはもう乗れない、返せとは言わん。古いがちゃんと動く。お嬢さんも後ろに乗れるぞ。ヘルメットは無いがな。」


ダンテとシャロンは老人に礼を言い、ユス地方へとバイクを走らせた。

二人を見送る老人。


「ダンテ、生きて帰りなされ。」

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