第12話 蜂蜜酒で乾杯
娘は首を一振りして顎のラインで切り揃えたストレートのミディアムヘアを整える。柔らかい髪質にヘーゼルブラウンの髪色が親しみと愛くるしさを感じさせる。一方で瞳は澄み切って凛とし、虹彩に翠と金が挿しているのが神秘的であった。
騎士とヒーラーの二人は共に女には人並み程度に慣れていて、自分たちがそれほど驚くとは思っていなかった。おまけに娘の美しさは元からある程度保証されていた。フードの下に覗いていた柔肌の頬と華咲くような唇。それを持ちながら美しくないわけがない。
しかし、娘がフードを脱ぎ去った瞬間、普段冷静なセージでさえ目を見張り息を呑んだ。ライアンは口をぽかんと開けて、その手から魔石がこぼれ落ちたのにも気付かなかった。二人は声を取られたかのように何も言えず、焚き火の炎に照らされる彼女から目を離せずにいた。
この娘に言わせれば魔法を使う者は神なのだという。ならば、自身こそがその類であると早急に自覚すべきだ。
セージは言葉でそう思い、ライアンは体でそのようなことを感じた。
「交渉成立、ですね」
娘が鈴の音を鳴らすように言い、セージはやや遅れを取って応じる。
「あ、ああ……。交渉……成立だ」
「ヨッシャアアアア!!」
騎士がガッツポーズで立ち上がり、三人はその夜、娘がグラスに注いだ
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