子供の頃に書いた古の自作小説を発掘したので手を加えて黒歴史を上塗りしながらWeb小説に挑戦する人の記録

白木蓮 ちゃーり

1日目 こんなきっかけでココにいる

 実家の元自室に残された荷物を幼い娘とあさっていると見覚えのあるファイルケースが取り残されているのに気がついた。


 埃はかぶっているし兄の荷物や田舎特有の虫達の死骸にヤモリの排泄物なんかくっついたケースなもんで、少し躊躇したけれど中身は検討がついていたし以前から気になっていたのでとりあえず意を決した。


「うわぁ、よごれてるー」と娘に微妙な表情を向けられながらケースを手に取るが、

 予想通りホコリとよくわからないザラついた感触が手に伝わり私も娘と同じく微妙な表情になった。

 

 そっとケースを移動させ早速開封だが……


 予想はしていたけど古本のページをパラパラとめくった時よりも濃い湿気臭が一気に放出され思わず一度ケースを閉める。


「あのさ、くっさいなコレだいぶ」と私苦笑い


「ふるいニオイやなー」と、娘一歩遠ざかる


 見た目と、ニオイの衝撃に一旦二人で無になったが中身を知らない娘が少し遠い位置からケースを指さしながら、


「なにが、はいってるん?」と聞くので母の黒歴史を伝えて良いものか一瞬迷ったが、


「これは、小説があの、えーと、手作りのお話が書いてあるものが、あの、入ってて……」

 と、分かり易く伝えようとして逆に焦ってしどろもどろに答える私。


「かーちゃん、おはなしつくったん? よもうよー、あとでよんでー」


 という感じで無邪気に言われると断れず、しどろもどろのまま…………


「えー、よ、読むの? わぁ……これ読むのかー声に出して音読かー、わかった読むかぁ」


 とりあえず気を取り直してケースを再び開封して中身の再確認をする。


 相変わらず湿気臭が漂うなか表紙に下手なオリジナルキャラクターが落書きされたノートや何故か表紙にプロローグが書き込まれた仕様の意味わからんノート、原稿用紙に作文のように書かれた小説モドキが同じ内容で複数(何度も複製しかけて、毎回途中で断念したと思われる)


 当時から変わらない自分の飽きやすい性格が垣間見えて苦笑。


 娘は早く中身が知りたいとワクワクした様子で母の黒歴史激暗黒ノートがケースから顔を出す度にキラキラした目を向けてくる。


「すごい、じぶんでかいたん!」と娘。


 極めつけは、ワープロで印刷された私の初小説(小学生時代)だが経年劣化で黒い文字の印刷が消えてしまい、光に傾ければうっすらと文字があった部分に光沢を帯びた文字の跡が浮かび上がりかろうじで読めなくはないが相当な根気が必要な劣悪な状態になっていた。


 丁度レシートの印字が薄れた時のような状態を思い浮かべ、時間の経過を少し悲しく感じていると遠目にはテロンテロンに柔らかい白紙の束を持って一時停止している様にしか見えないであろう私に娘の声がかかった。


「それもつくったん、スゴイなーかみがいっぱい」


「いや、これは昔は文字がちゃんと出てたけど薄くなっちゃったな、昔はパソコンに似たワープロって機械があってそれで作ったんやけど」


 と、説明しながら脳裏にはワープロと出会った当時の記憶がよみがえる。


◇◇◇◇


 私が小学生当時は既にワープロ世代ではなくパソコン世代であったが、ワープロを使っていたのには私なりの理由が有ったからだった。


 物心もつかない幼い頃に別れた父が残していったワープロを家の奥底で発掘した時に、声も思い出せないが確かにどこかに存在する父の面影を求めてなのか何なのかは定かではないが、捨てられそうな、その父の形見のようなワープロを無性に置いておきたい、使いたいと感じたから。


 わざわざ、それこそホコリをかぶって動くかも怪しいワープロを掃除して用紙を準備して、全く仕組みも分からず家にパソコンすら無かったので知識は無い状態だし当時はケータイも持っていないし複雑な家庭環境のおかげで外からの情報はない(家族は兄か祖父母。ワープロの知識は無いので聞いたがわからない)

 

 そんな中で文字通り手探りのワープロ体験が始まっていった。


 苦心しながら試行錯誤の末にディスプレイに文字が正常に打てたときは感動したのを覚えてる。


 が、その時は小説を書く予定は無かった。ただ純粋にドッシリと重みがありそれなりに大きな自分にとってはカッコいいワープロ、父が残していった機械を使いたかっただけ。


 けれど友達の家に行くと置かれている友達専用のパソコンへの密かな憧れもあいまって、このネットも使えないただ、ただ文字を打って印刷するだけの平凡な古めかしい機器をどうにか活用したい! と気持ちがフツフツとわきあがっていった。


 そんな中で、結局ワープロ発見と更に当時学校で某魔法学校シリーズの海外発の書籍が大ブームになり、担任の意向からも読書時間が増えるなどして小説等の書籍や物語への興味がMAXになり遂には、じゃあ自分で物語を書こう! という状態に至った。(あまりにも皆が読んでいるので、ひねくれ者の私はその某魔法学校ものは当時は読まなかった)


 それまではコミックや絵本、動物の実話ストーリー的書籍ばかり読んでいた私の世界も一気に広がったのだった。


◇◇◇◇


 と、まぁこの当時の記憶甦ること現実的には走馬灯の様に数秒だったが。


「へぇ、よくわからんけど、すごー」と娘の声に我に返る。


「せやろ? あ、でもこのワープロで作ったのは薄くなりすぎてすぐには読めんなーたぶん、知らんけど」と急に適当になる私。


「しらんのかい」と楽しそうにカラカラと笑う娘。


 とりあえず、読むにも何にも自宅に持ち帰ることに。


 今日は、ここまで。


◆◆◆◆◆◆


 1日目。今日の記録 反省点など。


・私達関西人やった。関西弁文章にしたらカタコトなる難しいやん。


・日記的な、記録的なはずが途中で何で語りだしてんねん恥ずかしいねんけど。


・あれ、大丈夫? 使い方間違ってるんじゃ…………だれが読むの?


ほとんど自己満足の日記?記録?のはじまりです。

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