エピソード29 HOPPER VS EAGLE攻防戦十四

 突然現れてHOPPER兵士達を襲って来たクロウ。

 それに対抗しようと現場にいた和也とHOPPER兵士五人

 自分達では勝てない相手だと分かっていても現場にいないリヒトの代わりに必死に迎え撃つ。

 格下なりに戦ったが次々と容赦なく殺されていった兵士達。

 そして必死に食らいついたが満身創痍となり、今まさにクロウにトドメをさされそうになっていた。


「貴様もすぐに仲間達の所に送ってやる。今度こそさらばだ!」


 と剣を振り下ろす。

 和也は下を向いてうずくまっていた。

 殺されるとは体では分かっていたが…目を閉じなかった。

 当たると思われた剣は交差し合って和也を切っていなかった。

 そしてうずくまる和也に対して見知った声がこう言った。


「助けに来ましたよ!何、うつむいてるんですか?らしくも無い。顔を上げて下さい隊長!」


 と聞くと反射的和也は顔を上げた。

 するとそこに居たのはリヒトだった。


「まだ何も終わって無いし終わらせない!ここからは俺達の作戦遂行への道が始まるんだ!だからまだ希望を捨てないで下さい。」


 と言い切るとクロウの剣を弾いたリヒト。

 剣は弾かれたが何故ここにリヒトが居るのかという事実を受け入れられずにいるキメラ生命体【クロウ】。

 溜まらずリヒトに向かって問う。


「な、何故だ!何故瀕死の重傷のはずの貴様がここにいる!!」

「何故だって?俺は希望だぜ。この世界が絶望に染まらない限り俺は何度でも人類の平和を脅かすEAGLEを排除するまで何度でも戦場に俺は戻ってくる。」

「やはり厄介な存在だ。完全に息の根を止めてやる。」


 と言うとリヒトを再び葬ろうと殺意を込めた剣でリヒトに切りかかる。

 だが見切られ受け止められる。


「クソ…」

「しっかり攻撃を打ち込めよ。感情に身を任せて適当に振り回すなんておもちゃを貰って暴れ回る子供と変わらねぇぞ…?」


 とクロウを煽り、剣を振り払い数撃斬撃攻撃をクロウにした。

 それを食らいリヒトの前から攻撃の余波で押され後ろに下がり膝をつくクロウ。


「桜さんー!和也隊長の事を任せていいですか?」

「あぁ。任せてくれ。こちらの事は気にせず、戦ってくれ。安全な所へ勝手に避難しておくので」

「ありがとう。そうしてくれると助かるよ。桜さん。戦い終わったら勝手に合流するか連絡を入れます!気を付けて逃下て下さいー!」

「工義殿もお気をつけて。ご文運を。」


 とやり取りをし、乗って来たHOPPERTHEVEHICLEで和也を乗せて急いでその場から運転して離れる。

 その間に自身の剣を取りに行くクロウ。

 桜一文字達がこの戦闘に巻き込まれない範囲に逃げるまで意識をそちらにさくリヒト。


「よし、行ったかな。それじゃあ俺自身のリベンチマッチと作戦遂行の為に戦うか。クロウ。」

「あぁ。そうだな。もう貴様がどうやって今ここにいるのかなどどうでもいい。今度こそ。確実に息の根を止めればいいだけの事だ。殺してやるリヒト!」


 と意気揚々と先制攻撃を仕掛けて来るキメラ生命体【クロウ】。

 それを交わし、蹴りをクロウに腹に打ち込み、EC刀で斬り上げる。


「うっ…ぐあっ…」

「おいおい、その程度か?前に戦った時のお前はもっと強かったが。まぁ、良い。さっさと仕留める!」

「な、なめるなよ!まだ私は全力ではないわ!」

(くっ…クソ…前回戦ったよりも確実に強くなってやがる…殺菌所和也とかいう奴もそうだがこれまで邪魔して来た奴より明らかに強い…あれを使った時の反動がまだ少し残っているが仕方が無い。隙を作って何としても能力解放状態になって奴を上回って殺す!その為にはあの技だな。)


 剣を持ってリヒトに近づく。

 そして攻撃を装って殺意を持って一撃を放つ。

 その一撃を放つと警戒させた一瞬に

 リヒトの至近距離で爆発的な大音量の音を出す。

 その音を聞き頭がくらくらする上に鼓膜の感覚がマヒする。

 キメラ生命体【クロウ】は自分自身にも影響を与え自滅しないように体を改造されているので影響はない。

 それを受けて少しの猶予が出来た。

 その隙に幹部にしか使えない能力を解放する為の言葉をリヒトから万が一妨害されないように距離を取り言う。


「インスティンクト!」


 そうクロウが言い放つと先程同様クロウの体を光が包む。


 それを見てリヒトは思わず


「しまった!」


 とは思いながらもうまだ体の機能が正常に回復していなので下手に動けないリヒト。

 その間にみるみるクロウは先程の形態へ姿を変えて行く。

 数分後

 クロウは先程の姿へとリヒトは良く焼く通常状態に戻れた。


「いや~手札と言うのはいざという時まで温存しておくものだな。お陰で貴様を初見殺し出来た。」

「クソ…こっちが先の戦況では圧倒的有利でも一応幹部としての起点技もある訳か。厄介だな。」

「ふっ…貴様と私では生きている時間と戦場での経験が違うわ!!これで確実に貴様を殺す事が出来る!」

「おい!勝手に勝った気になってんじゃねぇよ。むしろこれからが対等の勝負の始まりってやつだろ。」

「ふっ!好きに思うくらいは思っていろ!現実で貴様に分からせてやる。」

「やるか。どっちがやるか、やられるかの戦いを…」


 クロウの姿が変わる前まではリヒトが有利だったがリヒトがクロウの初見技を食らい隙が出来た間に先程圧倒的実力差でやられた姿になり、和也によってやられた羽根も前より増えて復活し、これまでのダメージもこの姿への形状変化で消え万全の状態となったキメラ生命体【クロウ】。

 果たして真の姿となったクロウにリヒトは勝つ術はあるのだろうか…?



            続

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