エピソード20 HOPPER  VS EAGLE攻防戦五

 まず最初に動いたのはキメラ生命体【クロウ】だった。

 それを受け、食ら付くように攻撃を受け止める人工戦士リヒト。

 するとすぐ戦法を変え、カラスの羽根をくないのような形状にした物を六つ高速でリヒトに向けて放つ。

 それを自動化にして正確にはじくリヒト。

 リヒトは自動化に任せてそのまま攻撃を仕掛ける。

 急に動きが変わって流れを乱されて攻撃を食らうクロウ。

 そしてまた自動化を解いてコマのように回転して追い打ちを打ち込むリヒト。

 それを食らって地面に叩きつけられるクロウ。

 そのまま仕留めるつもりでエネルギーを剣先に集中させるリヒト。

 充電を貯めきるまでEC刀を有効活用出来ないリヒト。

 下手に反撃できないように威嚇をしながら時間を稼ぐ。

 その隙にクロウはある事を思う。


(思ったよりやるな…こうなったら大分使用後の肉体への負荷は大きいからあまり使いたくはないんだがこうなったらEAGLEの幹部のキメラ生命体にしか使えないあの奥義を使うか…。確実にこいつを仕留める事を優先する…!)


「インスティンクト…。」


 そのクロウが呟いた言葉はEAGLEの幹部怪人にのみ与えられる能力で己のモデルとなった生物の力を最大限に開放しつつ、身体能力向上そしてその状態で理性を保ちながら感覚を研ぎ澄ますが使用後の反動が大きく大体は最終手段として使われる能力である。その能力を使う為のカギとなるワードを言ったのである。

 そして突如光輝く。

 その現象に動揺するリヒト咄嗟に何が来てもいいように防御態勢を取る。

 そして少し経つとその姿が現れる。


「な、なんだ…。あの姿は。ますます化け物みたいな姿になってるじゃねぇか。一体何が起こったんだ。」


 と突然の出来事に驚くリヒト。

 キメラ生命体【クロウ】人間カラスのような見た目からより野性的なカラス色強めの大きさも先程に比べて大きくなりより化け物の姿に変貌を遂げていた。


「急に光出すから何かしらの攻撃かと思ったら姿を変える技か。あんな事初めてだがだからと言って攻撃を辞めても先に進まない!だから攻めよう。」

「充電完了です。」


 とリヒトが攻めようと覚悟を決めると同時に覇刀光一撃を想定基準通りの威力を出す為のチャージが完了したことを告げる機械音声が出る。


「これでも食らえ!覇刀光一撃!!」


 と姿を変えたキメラ生命体【クロウ】に向けて放つ。

 そして除けもせずそれを手で受け止める。

 少し押されるが踏ん張ってはじき返した。


「な、なんだと…。俺の必殺技だぞ…?それをはじくなんて。」


 とその光景を受けて愕然するリヒト。

 そんな現状など一切気にもせず無言で高速移動しリヒトの前に立つ。

 そのまま五発殴られるリヒト。


「ぐッはぁ…」


 更に背後に回り嘴の部分を剣にしてリヒトの体六撃斬った。

 今までの仕返しと言わんばかり荒々しく頭を掴み雄叫びを上げてそのまま床に叩きつける。

 成す術無く倒れ込む。

 その体を更に羽根部分を使って吹き飛ばす。

 そしてトドメに腹に重い攻撃を羽根を巨大な腕に変え、壁に殴りつける。

 それを見下すような目で見ながらずっと黙っていた口を開く。


「この程度か?リヒト。やはりこの力はすさまじいな。基本的に使う事は無いが。」


 と哀れな奴を見る眼差しでリヒトに向けて呟く。


 すると急にリヒトが立ち上がる。

 瞬時に規則的に攻撃をクロウに仕掛ける。

 驚きするものの本能的にその攻撃を受け止める。

 その動きは無駄な動き正確に畳み込んでいる何故やられてボロボロのはずのリヒトがこうして動けるのか。

 それはやられているさなか今の自分自身の実力じゃあ太刀打ちできないと認めたリヒトは自動化に切り替えてクロウに挑んでみるしかないと思い切り返す隙を伺っていたのだ。

 流石に正確に体を動かし躊躇なく的確に打ち込むことができる自動化は少しはやり合っている。

 その姿を物陰から見ていた和也は状況を考えHOPPER基地司令部に連絡を入れる。

 少し帳尻を合わせるのに苦戦したが無事繋がった。


「もしもし。こちら和也!応答を求める。」

「聞こえているぞ。今は一体どうなっている?状況を説明をしろ。」

「細かい説明は後だ。今は用件だけ伝える。リヒトが敵幹部と交戦してヤバそうなんだ至急なんとかできる物を持って来てくれ。災厄俺のバトルスーツを…」

「そうか。物資の件については心配するな。向かう時には終わらなかったが一時間前に全てのメンテナンスを終え持って移動してすでに運搬している。」

「そうなのか。今の状況にとっては嬉しい知らせだ。ならとりあえず今頼みたいのはリヒトがやられた時にリヒトを回収して欲しい。基地に連れ帰って怪我の回復と幹部のキメラ生命体を倒す手立てを出来るだけ早く見つけて欲しい。そしてここにまた送って欲しい。」

「今、それが最適解になりそうな状況なんだな。分かった!物資運搬向かった者に救出を要請しよう。今の戦いが落ち着いたら連絡をしてくれ良いな?」

「了解。」


 と約束して通信を切る。


 その会話中もなんとか自動化で戦闘しているリヒト。

 それを受け、決め手をこまねいているクロウ。

 だが、本能解放状態な事もあり本能で段々動きに適応しつつあるクロウ。

 もう残ってる手札は今は自動化での戦闘しか残っていないリヒトには依然苦しい状況である。

 すると完全に読み始め、リヒトの攻撃を交わし押収してき始めるクロウ。


「そんな規則的な動き私の本能の力と能力差で押してくれるわぁああ!!」


 リヒトの攻撃に対し無理やりカウンターをねじ込んでくるクロウ。

 それを連続で打ち込む。

 それを受け、倒れ込む。


「これでそのまま起き上がるな。ブラック・バード・レーザー。」


 周囲にある風や空気を羽根を媒介にし、エネルギーをため込みリヒトに目掛けて放つ。

避ける隙も無く高速レーザーのような速度のこの技をもろ受けるリヒト。

余りにもこの戦いで負荷をかけすぎてベルトの調子がおかしくなり自動化が強制解除された。


「あっ、ヤベェ…戻っちまった。でもやるしかねぇ。」


食らっても座り込んでいた状態から気合でEC刀を立つ事へのので支えに使って立ち上がる。


「ほう。まだやるか。こちらも余裕がない。さっさと倒す。」

「今の力を振りあぼって今やれるひと振りをアイツにぶつけてやる!」


剣道の要領でクロウに一本浴びせる為にEC刀で今の全力の一振りを放つ。

一撃だけ与える。


「くっ…まだこんな力が鬱陶しい!!」


覇気で吹き飛ばす。

壁に叩きつけられる。


「沈め。クラッシャーバード!」


カラスの羽をハンマー状にしたものを壁に叩きつけられているリヒトに打ち込む。


その威力にリヒトの姿から人間の姿へと戻ってしまった。

その場の床に倒れ込む。


「遂に元に戻ったな!貴様の命運もここまでだな。この私の羽根の小刀で死ねー!」


動けない工義。

果たしてどうなってしまうのだろうか…。



                続











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