エピソード9 近接戦&人質 エンド

 リヒトは向かう途中で襲う敵のキメラ生命体【ベェアー】と戦闘を繰り広げていた。


「お前結構しつこいくらい粘り強いな…」

「貴様もなかなかやるな。これが俺が望んでいた戦いだ!」


 一旦お互い距離を取り、相手の出方を見つつ次に仕掛ける攻撃を考える。


(俺の自慢の格闘術の奥義を奴にぶつけて名残惜しいがそろそろ終わらせるか)


(このままじゃ…らちが明かない。よし、まっとうに戦っても負けそうだ。こうなったら!この前、光さんに教えてもらったあの技で倒すのにかけるか…!)


 近くに落ちていた先程連れ去られそうになった人が落としたトレッキング・ポールを取り、EC刀に変換させた。


「ドッキング!」


 と音声認識で先日光から教えてもらった姿になり、ブースターを使って少し浮かせた状態にした。


「おいおい~なんだそのふざけた姿は!舐めてるのか?」

「生憎だが、これが俺の全身全霊だ。」

「そうか!ならいい!来い!」


 その頃、先に潜入していた和也達は戦闘員アントを倒し先に進んだ先にも誘拐して来た人質が逃げ出さないように監視に着いて居た者達が救出を阻止しに来たのである。


「クソ…またか。俺は一時的に痛み止めで奮闘しているだけだから長期戦はしたくないんだがな。でもここで襲ってきたってことは近いぞ!お前らやるぞー!」


 と指示を出すと

 一斉に攻撃をし、敵と対峙している時に抜け道になりそうな道筋が出来たので数人と、和也は先に行くと言い、その場を戦闘中の隊員に任せた。


 そして進むと一人の非戦闘員が待ち構えていた。


「誰だ!貴様。」


 と和也が言うと


「t、s、g」

 それは組織内で決めた潜入中のメンバーであるための証明のメッセージのうちの一つだった。

「そうか。宜しく頼む。」


 とその潜入中の隊員の指示で捕らえられた人達が居る場所へ案内してもらった。


「皆さん、もう大丈夫ですよ。我々は貴方達を助けに来ました。」

 和也のその言葉に泣いて喜ぶ人達。

「助かった。」

「良かった帰れる…」

 など安堵の言葉を吐いていた。

 そして持っていた武器で閉じ込めている牢の扉を壊して誘拐されてきた人達を出し、

 出口へ案内を始めた。


 そしてリヒトは…


 助走をつけてブースターで加速し、【ベェアー】に向かって行った。

 日頃の特訓で使い方を編み出していたので頭目掛けて突っ込んだ。

 すると動体視力も高い【ベェアー】は反撃と言わんばかりにリヒトの腹に重い一発を放ってきた。


「意識が散漫だぞ!食らえ!》さぁ、やろうぜ。俺の頭が切り取られるのが先か…それとも俺がお前を戦闘不能にさせるのか…をなぁ!!」


「俺はこんなところでやられてる場合じゃないんだよ…!!」


 それぞれの思う一撃をぶつけあっている。

 そして最後の一思いの全力でEC刀の付いている部分に更にエネルギーを乗せ、気合で押し切り切断した。


 それを確認すると踏ん張っていた反動とやられてもなお、力を込めていた【ベェアー】の攻撃にはじかれた。


「ぐっあ…やられてもただでは終わらない敵だったな…」


 とその場でリヒトは座り込んだ。


「少し休憩してから向かうか。まだ連絡も無いし…」



 その頃、敵の別基地では


「クソ…また邪魔が入ったのか。そろそろ奴らへの対処を考えなくてはな。」

「その必要はない。もうすぐ、奴に対抗する為に私が作っている兵士が間もなく完成する。それに今責められている基地は切り捨てても構わん。痕跡を残すな。良いな?」


 と述べたのは低温声に加工された声の男だった。


「ぼ、ボス…そんなお手を煩わして大変申し訳ありません。その件は了解いたしました。すぐに起爆します。」

「良い。私も私の邪魔されたのが癪に障ったからやったまでの事。貴様も自分の業務に励め。そして私の目的の遂行を順当にいくように努めろ。良いな…」

「かしこまりました。ボス。このクロウ。必ず視野貴方様のお役に立てるよう励みます。」

「あぁ。」


 そして基地内


「皆さん早くここから出ましよう!」


 と連れ去られた人たちを案内しながら出口へと向かう和也達。

 すると突然基地内が爆発した。


「な、なんだ!?」


 すると少し休んでいたリヒトも山の上の方から爆発音を聞いて何かあったと思い上へ急ごうとブースターで頂上に向かった。


 倒壊する事を悟った和也は避難民を無事全員救出出来るように丁寧に安心感を持ってもらえるように呼び掛けた。


「皆さん今の爆発で不安な人も居ると思いますが、我々はこんな時の対処を知っていますので我々の指示に従って頂ければ無事ここから出れますのでお願いします。」


 と声を掛けると皆納得してくれた。


 そして敵の足止めをしていてくれた部下共合流し、出口まで全員で急いだ。

 すると東海の崩れ方までは自然現象なので出口の光が見えた所で天井が落ち、出口を塞がれた。


「く、クソ…こんなデカい岩を我々の今の武器で壊すには反動やその後の被害が予想出来ない…一体どうすれば…」


 と全員があと一歩まで来たと思った所で出口が塞がるという状況になり、落胆した時人々の上に当たった天井の破片が捕らわれた人達の頭上に落ちそうになったその時…

 全員が閉じた目を開くと破片をバラバラに跡形も無く消し去ったリヒトが人々の隣に居た。


「た、助かった…」


 と安堵する人達。


「皆さんもう大丈夫です。私が、あの塞いでいる岩をどうにかしますので後は私に任せて下さい。」


 と言った。


 人々も困惑はしていたが納得したように頷いた。


「ありがとう。」


 そう言うと先程消し飛ばしたようにEC刀の火力を戦闘時より弱め、斬り捌いた。


「さぁ、出口は開きました。時間がありません。後は私がどうにかしますので皆さんは一刻も早くこの場から出て下さい。」


 と言うと我先にと人々が駆け込んだ。

 逃げて行く人々と通りすがりつつ崩れ落ちないか意識を集中して確認する事十分。


 特にその後は大きな事は起きず、無事救出に成功した。


 安全な場所まで痰飲たちとリヒトが同行し、この事は内密にする事を約束してもらって一件落着を迎えた。


 そして一仕事終えた一行をいつの間にか避難していた潜入していたHOPPERのメンバーである緑川暦がここまで乗って来た車を一行の前まで運転して来た。


「皆お疲れ様。さぁ、基地に帰りましよう。後は私が運転するから。」

「そうか、ならよろしく頼む。」



 と隊長の和也が頼み一行は車に乗り、追われていないか気にしながら基地へと帰ったのであった。




                続





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