第7話 [龍の加護]


「ああー!!コイツ生命力高すぎだろ!!なんなの!?なんで真っ二つにしても元に戻るんですかねぇ!!」


 かれこれ、もう十分くらいこうしているだろうか。目の前で身体が再生していくG。奴はこの迷宮ダンジョンのボスだ。道中出てきた奴らよりも少し大きいくらいの大きさで、ボスとは思えないくらいには弱かった。だが、コイツ生命力が高すぎる。というか、再生しまくってる。


コメント

・これはひどい笑

・叫びたくなる気持ちも分かるわ

・生命力高すぎというレベルじゃないだろ、もはや

・こんな所で原作再現しないでもろて

・コイツ再生能力持ちなん?

・いくら再生持ちでも両断されれば死ぬだろ普通



 さっきから、真っ二つに両断したり、再生中に更に切り刻んだとしても再生して復活する。だから俺が一方的に攻撃しているものの未だに倒せていない。いい加減めんどくさくなってきた。おんなじことをしてるだけだし。流石に突破口を見つけないとそろそろまずい。というか配信的におんなじ絵面ばっかり映ってるのはどうかと思うしね。


コメント

・そろそろ突破口見つけないとなぁ

・流石にだれてきたか

・ずっと同じ絵面だしなぁ

・あれ?もしかして、攻略法知らない?

・何?攻略法なんてあんの?

・お!!


『龍樹。我がやろうか?我であればすぐに終わるが?というか、そろそろ我もやりたい』


 アルが見かねたのか、助け船を出してくる。

まぁ、アルであればこんな再生能力なんか無視して、塵も残らないくらいに消滅されることは容易いだろう。だが、まだやらせるわけにはいかない。


「いや、アルの出番はまだだ。気持ちはありがたいし、やりたいのも分かるけど今はまだ駄目。ごめんな?」


『むぅ……まぁいいだろう。だが一つ言っておこう。。」


コメント

・どうゆうこと?

・アルちゃん攻略法わかってるんだ

・まぁ、分かっても不思議じゃ無いか

・ボスじゃないなら何なんだ?あれ

・ちょ、有識者ー


「ボスじゃない……?」

 

 アレがボスじゃないとしたらボスは他にいる?…………あ、


「あれ、眷属か!!」


コメント

・あー

・眷属型のボスか

・しかも、本体倒すまで無限復活のパターンだ

・眷属型って何?

・有識者プリーズ

・眷属型のボス。眷属を呼んで戦うタイプのボスのことを指す。端的に言えば仲間を呼ぶ。また眷属型のボスには二パターンあり、仲間呼んで自身も戦うタイプと、仲間を呼んだはいいものの自分は戦わず引きこもってるタイプ。今回は、引きこもってるタイプであり、尚且つ、引きこもってるボスを倒すまで、眷属は無限に再生する能力持ち。だからここのダンジョンボスは、龍樹くんが何回も屠ってたじゃなくて、そいつを操るやつを倒さない限り終わらない。

・有識者サンキュー

・通りで、倒せないわけだ

・あれ?これ気付けなかったら無限に続いてたって……コト!?

・まぁ、そうゆうこと

・あれ?でもボスどこにいんの?あいつしかいなくない?

・あーここのボスな……凄く小さいんだよ。それこそ本当のGと同じくらいに。だから見つけづらいんだよね

・まじでこのダンジョン初心者用じゃないだろ

・詐欺じゃん詐欺


「ああー!!本体何処だー!!」


コメント

・あーあー苛立っておるわ

・気持ちは痛いほど分かるけど笑

・でも、ここ攻略法調べればすぐに出るんだよね

・まさかの情報不足?


 再生した眷属の方をぶった斬る。

そして、再生している間にボスを探す。

 よく目を凝らして探さないと見つかりそうにないからな。


 あ、眷属の方再生した。

また、斬り刻む。


 それを何度か繰り返す。

そして、橋の方で小さく映る黒い物体。


……あれか。やっっと見つけた!!


「逃がさねぇ!!」


コメント

・え、嘘、いたん?

・よく見つけたな

・誰か分かった人いる?

・見つけらんなかったわ

・すげー


 この機を絶対に逃さんと、そいつの元へダッシュする。ダッシュして、そいつの元へ行き、剣を突き立てる。逃げそうになったがぎりぎり間に合ったっぽい。これで間に合ってなかったな、精神的にキツかった。……よかった。


コメント

・いったあぁぁぁ!!

・うおおおおお!!

・大勝利!!

・キタァァァ!!

・ここまで長かったな……

・おめでとう

・おめでとう!!


 剣の突き刺さった奴が、塵となって消える。

それと同時に眷属の方も消える。



◇◆◇◆◇◆


《グランドゴキブリンの沈黙を確認。これにより第253番迷宮ダンジョンの攻略が成し遂げられました。》


《攻略者の一覧に白神龍樹の名を新規登録しました。》


《討伐報酬、【グランドゴキブリンの魔石】を獲得しました。》


《スキル[龍の加護]を獲得しました。》


《以上を持ちまして、第253番迷宮ダンジョン、最終層守護者撃破のリザルトを終了いたします。お疲れ様でした。》


◇◆◇◆◇◆


 アナウンスが流れた。

迷宮ダンジョン攻略達成を知らせるアナウンスが。


コメント

・そういやここのボスの名前ってあんなのなんだなwwww

・グランドって笑

・スキル獲得おめでとう!!

・やったじゃん

・龍の加護か

・あ……加護系のスキルって確か……

・うーん、なんか微妙?

・効果が分かりにくいんだよなぁ

・攻撃系じゃなかったかぁ


 新しいスキルを獲得した。

[龍の加護]というスキルだ。

これも明らかにアルが関係してるとしか思えないスキルなんだけど。


 ただ、コメント欄での反応は乏しい。

理由は分かる。加護とつくスキルは効果が分かりにくいのだ。なんかこう若干フワッとしてるんだよね。怪我の治るスピードが早くなるとか、ちょっと身体能力が上がったかも?とか、中には状態異常を無効化するものもあるけど、それもまた分かりにくい。このスキルは所持してれば実感が湧くけど、持ってないと目に見えて効果が分からないのだ。だからこそ、コメント欄みたいな反応になってしまう。

 俺としてはアタリだと思ってるんだけどね。


『我は良いと思うがな。』


コメント

・そうなの?

・俺もいいと思うけどなあ

・戦闘系のスキルの方が良くなかった?


「アル、そうなのか?」


『うむ。[龍魔法]を使えるようになるのに一歩近づいた。』


「え、近づいたの!?」


『ああ、近づいた。加護と名のつくスキルは、存在強度を上げるのもだからな。』


「存在強度?」


『分かりやすく言い換えれば、肉体の強度が上がったとでも言っておこうか。厳密には違うが。まぁ、龍魔法を使っても耐えられる身体に近づいたとでも思っておけ。』


コメント

・なんか爆弾投げ込まれた気がする

・んん??なに、存在強度って

・加護にそんな能力あったのか

・ちょっ……


「アル。その事についてあとで詳しく聞かせて貰うわ。取り敢えず、今日はここまで!!多分明日か、明後日にまた配信すると思うからよろしく。じゃ、終わるわ。」


コメント

・あ、ちょっとまて笑笑

・逃げる気が

・詳しく聞きたいんだが?

・あ

・あ……

・切れましたね……

・あ、

・最後に爆弾放り投げて終わった……

・草

・こりゃあ伝説だろ笑笑もう笑

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