ビシャビシャの自意識とキューティーハニーとちょっとCASSHERN

 おかしい。

 昨日の日記は「おすすめのカルトコンテンツ教えてね!」で締めたのでみなさんからたくさんのカルトコンテンツ情報が寄せられると踏んでいたのだ。

 いや、それはちょっと嘘で、ただ他の人の日記みたいにTwitterで何かしらのコメントをもらいたかった。その誘い水としての姑息なオープンクエスチョンである。

 というか、そもそもこの事態を恐れて日記ブームを遠巻きに見ていた。みんな楽しそうに日記を書いてるのに自分だけその輪に入れなかったらどうしよう!?


 認知の歪みである。


 わたしが生来こういう性格かというとたぶんそういうわけではなく、ここ一年半ほどビシャビシャに過剰分泌された自意識に溺れかけてアップアップしている。

 それが異常事態であり、自意識が冷静な思考を超越して精神衛生に重大な影響が出ているという自覚があったので、可及的速やかに病院にかかったりしたのだがあまり改善しなかった。前回の転職時と違い今回はカウンセリングのみだったので、カウンセラーさんの退職に伴い通院も終了とした。


 自意識がビシャビシャになると、自分にばかり意識がいく割に、その自分のふるまいが他人からどう見えるのかとんと見当がつかなくなる。

 今書いてるこの内容も、もしかして書かない方がいいの!? でも書かなくても伝わってるからこういうことになってるんじゃ!? じゃあ素直になった方がまだ感じ良いのでは!? わからん!!!! となっている。


 ロボットのプログラミング分野において「フレーム問題」と呼ばれる課題がある。「有限の情報処理能力しかないロボットには、現実に起こりうる問題全てに対処することができない」という問題らしいのだが、ウィキにわかりやすい例が載ってるので興味のある人は読んでほしい。

 めちゃくちゃざっくり言うと、人工知能は無限の可能性をすべて検討しようとすると演算が終わらなくて機能停止してしまう(だから思考の枠組み=フレームを設けてやらねばならない)みたいな話なんだけど、この無限の変数、無限の可能性を前に機能停止してしまうの、すごく自分のことのように感じる。そもそもこの言葉を知ったのもASD(自閉症スペクトラム)の説明だったので、わたしはそういう傾向があるんだと思う。


 だからたとえば昨日の日記について、「話題が面白くなかった?(みんなマルチの話題好きだと思ってた)」「それともわたしの日頃の行いに問題が?」「こんなことを言ったらコメントを強要していると取られないか?」「そんなつもりはないのに! でも言わなかったら言わないで何か隠しているような、嘘をついているような不自然な態度に取られないか?」「現にこういう思考をなるべく出さないようにしているのに触れづらいと思われているのはそういう理由では?」ウワーッ! エンドレス!!



 機能停止したので昨夜見た『キューティーハニー』(2003・庵野秀明監督)の話をする。

『シン・仮面ライダー』がだいぶ気に入ったので、同じ系統らしい本作もまあ見ておくか……というのはまあ建前で、彼氏から「見た?」と何度も聞かれた(おそらく一緒に文句を言おうというニュアンスを含んでいる)ので、見た。

 開始1分で「きっっっっっっつ」となったのだが、その理由はアニメっぽすぎる世界観やセリフ回しや演出で、意外とすぐに慣れた。

 慣れたら、あれ、これ結構好きかもしれんな……? となった。


 佐藤江梨子演じる如月ハニー、これも最初はコテコテだしセリフ読みも下手やなあ……と思ったのだが、見てるうちにめちゃくちゃかわいく感じてきた。原作未読・アニメ未見なのでわからないが、庵野の文脈でいえばエヴァのマリに繋がるような(なんたって三百六十五歩のマーチの歌いながら出てくるシーンがある)楽しげで飄々としたキャラで、素直だ。わたしは素直なキャラが好きだ。めんどくさい人間は嫌いなのである。演じ方も巧拙で言えば決してうまくはないかもしれないが、思い切りがいい。恥ずかしさが見えない。声が野太いところもいい。かわいい。

 そして市川実日子演じるなっちゃんこと秋夏子。かわいい。市川実日子が好きなので、もうかわいい。ちょっとツンデレ要素がありめんどくさいが、かわいさが勝っているので問題ない。かわいい。


 その二人のクソデカ百合だった。

 先に言ってよ! もう! 作品中でお出しされる百合が大好きでおなじみのナツメちゃんなのである。かわいい×かわいい=かわいい∞かわいインフィニティじゃん。お陰さまで寿命が伸びた。


 しかしハニーのかわいさはやっぱり自意識のなさ(自意識=めんどくささなので)だよなー、とか考えてまたビシャビシャに溺れそうになるのだが、推し作家である岩井秀人も自意識系の作風なので、せっかくなのでこの溺れかけの苦しみをなにかに生かしていければいいわねと思う。そういうのも含めて今回は書く方に舵を切ってみました。



 あと今日はシン・仮面ライダー関係で同じく擦られてる『CASSHERN』(2004・紀里谷和明監督)を公開当時ぶりに見たのだが、こちらはあんまりピンとこなかった。作中で椎名林檎の「茎」が流れたことだけ覚えてたんだけど、「そんなシーンで、そんな尺で!?」となった。

 キューティーハニーにしろCASSHERNにしろ、こういう世界観ドーン! 系の邦画ってなくなりましたね。

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