第14話

▫︎◇▫︎


 ーーー戦姫である私が愛したのは、敵国の王子だった。


 戦争によって聞き手が動かなくなった私は、その後、激化した戦争によって滅びたディステニー帝国とヴィクトリア公国とヴァルキリー王国の民を集めて新たな国を作った。


 身分差のない共和国を作るのはとても骨が折れることだったが、私はアンソニーとだから乗り越えられた。


 私たちの戦死はデマ情報だったとアンソニーが躊躇いもなく情報操作をしたために、私たちの行動はとてもやりやすくなった。


 たくさんの兵士や民に尊敬されている将軍2人が立ち上げた国、オリヴィア共和国。

 沢山の人の笑い声と幸せそうな表情、そして美しい花々に包まれた優しい国。


 そこには、私と彼の目指す場所があった。


 平和な国で、私ワルキューレ・フローラ・ヴァルキリーと彼テオドール・アンソニー・ヴァルキリーは幸せな生涯を終えた。


 決して楽な一生ではなかった。

 どちらかといえば苦しくて悲しい一生だっただろう。


 でも、最後だから言える。


 ーーー私の一生は、彼の宣言通りたくさんの愛に包まれていた。

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