4/10:キャラメルコーンわたあめ味

 変な食い物ばっかり買う。他人からも言われるし、自覚もある。


 普通の飯のことがよくわからないから、何を選んでいいかわからなくて、目を引く変なものしか買う気にならないんだ。


 今日はわたあめ味のキャラメルコーンを買った。

 開封した瞬間、ぎゃっと退くくらい真夏の縁日の匂いが噴き出した。


 あの蜘蛛の巣みたいなわたあめの糸が貼りついた、うがい薬色の古いガラスの覆いがついてる機械と、夏の暑さと火の熱でザラメを溶かす匂い。

 致死量の晩夏に脳が焼かれた。

 甘い煙越しに霞んだ屋台裏を行く人々を幻視するくらい。


 味は意外と普通のキャラメルコーンだった。

 甘くて喉が痛くなる。週末は夏日らしい。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る