4/5:白井智之『名探偵のはらわた』
白井智之先生の名探偵のはらわたを読んだ。最高でした!
探偵ものミステリ苦手でも読めるものと募集したところこちらを教えていただいた。
暴力と犯罪が好きという認識なんだろうな。合ってるよ。
最初に昭和史に残る犯罪者の羅列があったけど、そこからは意外と正統派な探偵と助手の普通に緻密なミステリが始まった。
確かに文章上手いし、横溝正史的な因習村要素もあってわかりやすいなーと思いながら読んでたら、一章のラストからエグいギアチェンジが入る。
津山三十三人殺し!阿部定!帝銀毒殺事件!
地獄から呼び戻された異常犯罪者たちが魂の飢えを満たすため、人体を乗っ取り、乗り移りを繰り返し、令和の世でまたひとを殺しまくる!
最悪のFate/Grand Order?
亜種特異点 末法犯罪都市・オカヤマだ。
名探偵の死から、最早推理もお役御免の末法の世に突入するかと思ったら違う。
化け物には化け物をぶつけんだよとばかりに、同じく地獄から蘇った殺人も暴力も辞さない昭和の名探偵が降臨する。
死んだ名探偵の助手だった主人公は、自分の落ち度で恩人でもある探偵を死なせたことを悔やみつつ、恩人の身体を乗っ取ったろくでなしの名探偵に複雑な思いを抱えて操作をしていくんだけど、この関係がすごくいい。
ミステリ部分も人体乗っ取りなどの特殊設定がありながら、且つ一切反則なしで鮮やかな多重解決を見せる。
全部が伏線で、昭和の犯罪史の根底から疑ってかかるような推理がすごく面白い。
推理しかり主人公の成長しかり探偵との関係しかり、全てを疑ってかからなければ生き残れない最悪の時代でも、真実と信頼の価値は失われないというところが、腑をぶちまけて死んだ名探偵の復活にかかっていていい。
インターネットの台頭で正統派な探偵小説が難しくなった現代でも、探偵は不要にならないという前時代からの鼓舞にも感じる。
歩けば首が飛び、頭蓋が陥没する、血みどろフィーバーなボスラッシュからこんなに爽やかに終わることあるんだ……。
すごく面白かったので、名探偵のいけにえとエレファント・ヘッドも予約した。楽しみですね。
でも、このバディではわらたシリーズ続いてほしいなあ。コミカライズとかされれば絶対オンリーが開かれますよ。ファウストは天才なのでわかります。
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