自由の果てに求めるものは1〜2

アライキアラ

プロローグ




 まさか僕が、いや。

 俺が異世界に召喚されるなんて、微塵も思っていなかった。


 知人とある程度の距離を保ち、不快にさせず仲良く振る舞う。

 目上の人の指示には従い、偶に自ら行動し信頼を勝ち取る。

 自分の欲望を抑え込み、対面する相手の自分に対するイメージを演じ続ける。


 仮面を被り、人と深く関わらない嘘をつき続けるロボット。

 そんな人間である俺は、これからもそんな人生を歩むと思っていた。

 だけど違った。


 知らない世界で。

 見知らぬ町で。

 俺のことを何も知らない人々と生活する。


 小説や漫画で偶に見かけて読んではいたが、所詮は空想。

 こんなことが起きたらいいなあぐらいにしか思っていなかった。

 だけど、そんな事が起きた。


 親も知人もいない世界。

 ならば…………もう、仮面はとっていいはずだ。


 今までの、仮面を被り自分に嘘をつき続けるロボットは…………もういらない。


 だから、俺は――――。

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