第2回 お姉様枠(現代ドラマ)

 ♪キンコーンカンコーン

 ♪キンコーンカンコーン

「はあー、やっと終わったー!」

 私の名前は川添かわぞえさなえ。13歳の中学二年生。黒髪ツインテールの普通の女の子。ただ一つ、みんなと違うことがあるとしたら私にはお姉様がいるというところだと思う。

 お姉様とは直接の姉妹ではないけれど、それでも本当の姉妹のように感じている。

 お姉様は年上というところだけで尊敬できるし、かっこいいし、大切な人でかわいくて、もう最強って感じなの。

 最近はなかなか会えなくて。

 でも、今日久しぶりに会えるの!だから、私は急いでお姉様のところに向かってるの。

 お姉様、最近体調を崩して入院しちゃったの。そんな重い感じではないんだけど、しばらく会えなくて。だから、お見舞いに行くんだ。

 お姉様のためにね、いろいろ持ってきた。

 うさぎの形に切ったりんごとかみかんとか折り紙とかけん玉とかあとはあとは…忘れちゃった。

 りんごは私が切ったんだよ。我ながら最高の出来です。



 そんなこんなでお姉様の入院している病院につきました。総合病院です。

 病室は確か6階だったかな。

 私は受付の看護師さんに一応訊いてからお姉様の病室に向かった。

 やはり、6階で合っていた。

 6階へは当然エレベーターで行く。

 でも、全然エレベーターが来てくれない。

 上の階からさらに上の階へと各駅の電車のように止まりながら最上階まで行った。

 そして、下りも同じように止まりながら降りてくる。

 ようやく、1階まで降りてきたと思い乗ろうとすると人がエレベーターから降りてくる。かなりおじいさんで杖をつきゆっくりと出てきた。

 無事、おじいさんが降りたのをみてから私はエレベーターに乗った。

 リアルに10分くらい待った気がする。



 やっとこさ、お姉様のいる病室についた。

 ドアの取っ手を左から右にゆっくりとスライドさせた。

 入って右側のベッドに白髪の女性が窓の外を見ていた。

「お姉様!」

 私はお姉様の方に駆けだした。

 病室で走ってはいけないと認識していても一度出た足を止めることはできなかった。

「さなえかえ?」

 私はお姉様に抱きついた。

 あったかくて、少しごつごつしてて、安心のできる匂いに私は包まれた。

 私のお姉様は92歳。

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