第14話 マイカ・アウローラは錬金アイテム『探知の鳥』を知る
NPCの女の子と一緒に『レティシアの錬金工房』に戻った私は、ベルを鳴らすべきか少し迷う。
まだ『レティシアの錬金工房』にやってきて一日目だし、ベルを鳴らした方がいいかな?
私は扉の横にある小さなベルを鳴らした。
NPCの女の子は『レティシアの工房』の、お菓子の家のような外観に見とれている。
扉の下部についている小さなドアが開いて、黒猫のロロが出て来た。
「マイカ、おかえりにゃん。その子は誰にゃん?」
「ねこちゃん、可愛い……!!」
NPCの女の子はロロを見てはしゃいでいる。私の目の前に選択肢が現れた。
【選択肢】女の子を連れて来た経緯を話す/「なんでもないよ」
【選択肢】「なんでもないよ」を選んだら、NPCの女の子のお兄ちゃんを助けられない気がする!!
ここは【選択肢】NPCの女の子を連れて来た経緯を話すを選ぼう。
【選択肢】女の子を連れて来た経緯を話すを選ぶと『マイカはロロに女の子を連れて来た経緯を話した』という一文が表示される。
これで説明が済んだことになるみたい。ゲームって便利。
「それは大変にゃん!! マスターに知らせて来るにゃん!!」
黒猫のロロは耳をピンと立てて言うと、奥の部屋に向かう。
私は女の子とここで待ってればいいのかな。
部外者の女の子を、錬金工房の奥に勝手に連れていくのは気が引ける。
「お姉ちゃん。ねこちゃん、可愛いねえ」
NPCの女の子は兄を心配することを忘れた様子で、ロロが去っていった方向を見つめながら言う。
私が微笑んで女の子の頭を撫でていると、やがて、ロロがレティシアを伴って現れた。
「マイカ、話はロロから聞いたわ。路地裏には探索者崩れのごろつきがたむろしているの。子どもが一人で迷い込んだら危ないわ。すぐに探しに行かなければ」
レティシアはそう言って錬金アイテムが置かれた白い棚に歩み寄り、青い鳥の置物を手に取って戻って来た。
それから、レティシアは女の子の前に立ち、口を開いた。
「お嬢さん。いなくなったお兄さんの名前を教えてくれる? それから年齢と、髪と目の色も」
「私のお兄ちゃんの名前はアランだよ。お兄ちゃんは8歳で、髪と目の色は黒だよ」
「アランね。わかったわ。教えてくれてありがとう」
レティシアは女の子に微笑み、私に視線を向けた。
「マイカ。今から錬金アイテム『探知の鳥』を使うわ。よく見ておいて」
私はレティシアの言葉に肯き、彼女が手にしている青い鳥の置物を見つめる。
レティシアは青い鳥の置物の頭を一度撫で、口を開いた。
「『探知の鳥』よ、目覚めよ」
レティシアがそう言うと、青い鳥の置物の頭は光を放ち、光がおさまった後には青い小鳥が現れた。
私も女の子も驚いて、レティシアの手の中の青い鳥を見つめる。
「探し人の名は『アラン』で、年齢は8歳。髪と目の色は黒。軌跡を残して探し人の元へ飛べ」
黒猫のロロが、自分がいつも出入りしている小さなドアを開けると、青い鳥はそのドアをくぐって外に飛び去って行く。
青い鳥が飛んだ後には青いリボンのような軌跡が残された。
「軌跡を追うわ。マイカは一緒に来て。ロロはお嬢さんと留守番よ」
「わかったにゃ」
「ねこちゃんと待ってる……」
私はロロと女の子の頭を撫で、レティシアと共に『レティシアの錬金工房』出て、青色の軌跡を追う。
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