第2話





「そんなに驚くことかい?」


 驚いて叫んだ俺に凛はそう言ってきた。


「いやいや、そりゃ驚くって。だってダンジョンマスターになれって言うんだろ?て事は、ダンジョンに入って来たやつを殺すことになるじゃないか」


「別に殺す殺さないはどちらでも良いけど今あの世界に存在しているダンジョンは積極的かどうかの違いくらいはあるけど基本的に侵入者は殺してるからそうなるね」


 へー、やっぱ既にいくつもあるのか。


「だろ?でも俺は現代社会で生きて来たから価値観とかで人殺すのキツいし実際殺した事なんて無いんだぞ?」


「うーん、そこら辺は私がなんとかするからやってくれない?上手くいったらご褒美あげるから」


 リンはそう言って頭を下げて来た。


「それよりも何で俺にダンジョンマスターをやらせたいんだ?ダンジョンの神って言うわけでもないんだろ?」


 そう、異世界に行くだけならそこらの赤子にでも転生させれば良いだけだ。


「あー、それはね。私今零落した状態なんだよね。超常的な存在ではあるけど現世に干渉できない感じなんだ」


「それが何故俺がダンジョンマスターになることに繋がる?」


「それは簡単な話でね。ダンジョンを運営するにあたってダンジョンマスターは特殊な魔力を使うんだ。魔力の説明は後回しにするけどこの特殊な魔力があれば私の力が増えて現世に干渉できる様にもなる」


 なるほど、ではその特殊な魔力を貢げとでも?


「ああ、勘違いしないでほしいのは別に魔力を貢いで欲しいわけでは無いよ。君がダンジョンをしっかり運営して発展させてくれれば自然と幾らか私の方にも来るからね」


「まあ、理由はわかった。でもそれなら別のリンの様な存在もダンジョンを使っているんだよな?俺がやるとしても邪魔されたりしないか?」


 実際コイツみたいな存在がいるって事は他にもあるだろうな。そんな奴らに目をつけられたらヤベェじゃねぇか。


「確かに他にもダンジョンを使っている存在はいるよ?でも安心して良い。私はこれでもそこそこ有名でね、私と友好的なところは手伝いこそしてくれないかもしれないが邪魔して来たりはしないから。それに、もし敵対的な奴らでもしっかり準備してからじゃないと手は出さないよ。それだけ私は怖がられているみたいだからね」


 えー邪神かなんかかよ。俺世界の敵認定されたりしない?あ、でもダンジョン作ることになったらどっちにしろそうなるか。


「わかったよ。死んでるのに生き返らせてくれるって言うんだしなるよダンジョンマスター」


「本当かい。嬉しいよ!」


 凛はとても喜んでいた。にしてもなんかこうして話してると女っぽいな、実際性別どっちなんだろ?まあ、今はどうでも良いけど。


「それで?俺はいつ向こうに送られるんだ?」


「今すぐでも良いよ?他に何か聞きたい事はあるかい?」


「ん?そうなのか。聞きたい事か...なら何か補助とかはしてくれるのか?俺向こうのことはもちろんダンジョンに関する知識も無いんだが?」


 そうだよ、チートとかはなくても良いけど何かしら役に立つモノがほしい。


「それなら安心してほしい。向こうに着いたら私の眷属が一人向かうからね。その子にはダンジョンの知識はもちろん他にも色々役立ちそうな知識も入れてあるから役立ててくれると嬉しい」


「それなら安心だな」


 一人じゃ無いのは良いな。モチベもいくらか上がるってもんだ。


「他には無いかな?」


「ああ、無い。送ってくれ」


「わかったよ。それじゃあ頑張ってね?すぐ死ぬなんて許さないよ?」


「安心しろ次会う時は今みたいに魂だけの状態じゃなくて肉体で合うさ」


 まあ、リンが肉体を持って現世にこれるのかは知らないけど現人神とかもいるんだし行けるだろ。


「それじゃあいってらっしゃい」


「おう」


 そうして俺はここに来た時と同じ様に光に包まれた。























「頑張ってね私の初恋の人。ふふっ、楽しみだなぁ」





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