ストーカーがいる

 広くもなく狭くもない家で、私は視線を感じて振り返った。サッと黒い影が物陰に隠れる。

 私はストーカーされている。


 在宅ワーク、食事、洗濯物……。私が動くたびに、影もサッ、サッと動いた。額に冷や汗がにじむ。

 ヤツはどこまでもついてくる。常に私を監視する。


 トイレに座り、ふうっと息を吐いたところで、外からギィっとドアが開かれた。

 しまった!

 ヤツが入ってくる。


 ぺたっと私のすねに抱きついた小さな男の子が、じぃっと見上げてきた。クリックリのすんだ目で。かわいい。

 困り笑顔で高い声を出した。

「ママトイレだからねー。もうちょっと待ってねー」

 鍵かけるの忘れてた……。

 息子は後追い期真っ盛り。

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