第21話「魔力の片鱗」

「何で服を脱ぐ必要が…」


俺がそう言うと炎先生は面倒くさそうに説明してくれた。


「めんどくさいから簡潔に言うぞ、魔力は感じる必要があると言っただろ? だから服からやると感じ取りずらくなるんだ、肌に触れると服から触れるとでは感覚は段違いだろ?」


俺は先生からそう言われ確かにと納得せざるおえなかった。


「よし、じゃあさっそくするから脱げ」


「あ、はい分かりした」

俺は服に手をかけなるべく早く脱ぐ。

その間炎先生は俺の体を見ている。

炎先生に見られているのが気になって早く脱ごうにもやっぱり恥ずかしくて手元が狂う。


「あのそれで、脱ぎましたけど俺は普通にこの椅子に座ったままでいいんですか?」


「そうだな、さっきお前を寝かしていた方の椅子に座ってくれ」

炎先生に言われ俺は直ぐに移動した。


「よし、さっそく始めようか」

先生はそう言って俺の背中に手を置いた。

手を置かれてからすぐに手がある所が徐々に徐々に少しづつだが手が熱くなり背中が火傷するんじゃないかと思うほどにまで熱くなっている。


「あの…先生めちゃくちゃ熱いんですけど…」


「そりゃよかったな、それが魔力だ。

まずはそれを自分の中に取り入れるかを試してみろ」

先生はかるくそう言ってくる。


「あの、普通にそんなの無理なんですが…」


「無理ってそんなのやってみらなきゃ分からないだろ? 最初から無理って言ってたら全てが無理だ。

まずはやってみろ。それで無理なら、他の方法を考えてやるから。その心構えが初歩の事だ」


「はぁなるほど…まあ確かにその通りですね」

俺は先生の言葉に感化され魔力を取り入れようと集中する。


〈はぁ…ふぅ…〉


俺はこの熱をもっともっと感じれるように意識を集中させる。


俺が意識を集中させているとふと気づくことがある。

呼吸した息が少し冷たいような熱いようなピリピリしているような普段より吐き出した息が強いようなそんな不思議な感覚がある。


「ま、アドバイスするならば俺が今触れている場所の熱が周りにあるかどうかを考えてみたら案外簡単かもしれんぞ?」


俺はそう言われたので意識をこの熱が周りにあるのかどうかを意識してみる。


…だがどうにも体に入れれそうにはない。


「どうやら、無理そうだな」


「、、、そうですね…」


もう無理なんじゃないかと諦めようとした時だった。

急に風が吹き荒れ、木々は揺れひしひしとなる音が辺りを埋め尽くす。

俺はこの時突拍子もないだろうがこの風が俺に何かを教えてくれるような感覚が何故かある。


そんなときだった


〈ふふ、魔力ってね〜体の一部に集中させたら良いかもね〜〉


…今の声はなんだ?


「どうやら、何かしら聞こえたらしいな」


「まあ…はい、何となくですが不思議な声が聞こえました」


俺は戸惑ってはいたが謎の声の主が言っていたことを試してみる。


「指にこの熱が来るような感覚を意識して…」


指先にこの熱を伝達するようにしてみると…

指の先からほんの少しではあるが小さな風がビュ-と出た。


「お、まだ弱いが魔法みたいなのが使えたじゃないか」


「これって魔法なんですかね…?」


「いや、これは多分だが精霊が助けてくれているんだろうな」


「精霊が助けてくれる…?」


「ああ、まず今お前って言っただろ? つまり何らかの物から力を借りてこれを発動させた、そしてその声が聞こえた瞬間に指先からほんの少しだが風が吹いた」


「だからこれは伝承にある精霊の仕業だと俺は思う。だが、これは遥か昔の言い伝えだから本当なのかは定かでは無いがな」


「まあ教師としてその伝承を勉強の為に今教えといてやる。

遥か昔…竜巻や雷、津波などの超常現象などは精霊がやっているとかんがえられていた。それらを自分達も起こしたいや防ぎたいなどを考える人達が精霊を見えるように様々な研究や実験を繰り返した。その結果精霊を見ることに成功した。人々が精霊が見えるようになると人々は精霊に魔法や魔力などを教えて貰うように必死に頼んだ」


「ここまでは大丈夫か?」


「話しが難しくなってきたから全然…」


「よし、分かっているようだなそれじゃあ続きを話すぞ」


「人々は精霊に魔力を感じれるように魔法を使えるようにして貰った、そこからがこの世界の魔法の始まりだと言われている」


「現にお前が急に魔法を使えただろ?それにお前俺の魔力が見えるんじゃないか?」


俺は先生に言われ少し冷静になると確かに感じ取れるようになっていた。それでいて先生の周りに風が通ると微量に感じる熱量、そして先生の体の周りからほんの少しではあるが赤い色のオーラが僅かに見える。


「お、やっぱりもうその段階にいってたか、やっぱりお前バケモンだよ、あっはは」


先生は愉快に笑いながら俺の背中を叩いてきた。

先生はまるで玩具を見つけたかのような子供のようにはしゃいでいる。

俺はこれからのことが凄いめんどくさいことになる未来が見えるのだった…

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