子羊たちは眠らない 第五章 突然キャンパスに現れた衝撃 玲奈

KKモントレイユ

第0話 プロローグ そうして舞台に向かって行く日々

 舞台練習が段々本格的になってきた。演劇部の部員たちも生活の中心が完全に舞台練習になり、それ以外の生活は舞台練習に付随した活動のように思えてくる。大学の授業も舞台練習と舞台練習の間にある休憩時間、あるいは気持ちを休める時間のように思えてくる日々。

 休憩時間と言ったが『いい加減』とか『気持ちが入ってない』ということではない。練習に集中し緊張感のある時間が長く続くと、その間にある時間は必要な時間で、貴重な時間になってくる。

 貴重な時間なのでリラックスした気持ちで集中している。そうなると、この時間にある大学の授業は意外と楽しく、わからないなりにも知識として頭に入ってくる。授業で学ぶことを吸収できるのだ。

 気持ちの中で、こっちがメインではないので覚えなければいけないという、なにか『受験勉強』のような追い込まれた気持ちが薄く、返ってスッと頭に入ってくる感じ。

 クイズ番組とかバラエティ番組で見た知識を妙に覚えているような感覚だ『明日、友達に教えてやろう』みたいな感覚。


 演劇部の皆がそうかどうかはわからないが、幽霊部員のようにいろいろなことに興味を持って練習にあまり参加しない者より、部活に真剣に取り組み、忙しくても練習に来ているような人の方が返って集中力もあり学校の成績もよかったりする。

 慈代やすようらら、晴美も例に漏れず、皆、学部ではトップクラスに成績がいいようだ。そればかりか遊んでばかりと思われがちな雅也や清田もかなりの成績がいいようで、練習の合間に雅也が後輩に何か勉強を教えてあげていたのを見たことがあった。

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