第7話 たいようさんさん




 たいようがまぶしくて、ぎゅってめをつむる。

 これじゃあ、しんごうがみえないよ。

 あれ、くるま、とまった?

 パパがあたしのてを、ぐってひいた。

 え、しんごうは?

 あ、あおだ!


 ぴしっとてをあげて、とことこわたる。

 たいようさん、げんきだなぁ。

 あたしはねぇ、まあまあげんき。

 きのう、ころんですりむいたところが、まだちょっといたいけど、げんき。


「たいようさんさん、だね」

 パパがわらう。

 そういえば、『たいようさんさん』ってよくいうよね。

 えほんでみたり、きいたりしたことがある。

 でも、きになることがあるんだ。

『さん』がいっこおおいんじゃないかな? っておもってるんだ。

 みんなはきにならないみたいだけど、あたしはきになる。


 むう。


「ねぇ、パパ」

「ん?」

「なんで『たいようさん』じゃなくて、『たいようさんさん』なの?」

「え?」

「『たいようさん』が、たいようのほんとうのなまえなの?」

「ハッハッハ」


 ぷう!


 あたしはまじめにおはなししてるのに!

 なんでわらうの? パパ!


 ぷくう、とほっぺをふくらませた。

 パパはコホン、とにせもののセキをして、

「たいようはたいようだよ。たいようが『さんさんとしてる』ことを、『たいようさんさん』っていってるんだ」


 さんさんとしてる?

 なんだそりゃ。


「たいようが、あかるくかがやいてますね、ってことだね」

「ふーん」


 あかるくかがやいてることを、さんさん、っていうんだね。

 それなら、パパさんさん、だね。

 パパのえがお、あかるくてキラキラしてるもん。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る