第32話 AIはカタルシスを理解出来るのか?

 ふと思ったので、備忘録的に記事をあげます。


 AIのイラストが猛威を振るい、ChatGPTの一時記憶領域が大幅に拡張された。


 AI小説家の登場、ないし、AI使い小説家の登場が待ったなしの状況だなと感じている。


 そこで考えるのは、『AIはカタルシスを理解しているのか?』だ。


 カタルシスとは、読者が感じる達成感と説明される。


 小説や漫画を読み終わって、『やったー!』と思ったり、スッキリする爽快な気持ちのことだ。


 わかりやすいのは野球マンガで、主人公がピッチャーで2アウト満塁、バッターボックスには宿命のライバル。

 このバッターを打ち取れば甲子園出場。

 ファール、ファールで粘られた後、主人公の相棒であるキャッチャーからサインが……。

 練習していたフォークボール!

 主人公は覚悟を決めて、相棒が構えるミットめがけてフォークボールを投げ込む。

 真っ直ぐに伸びた速球。

 バッターはホームランを確信し動作を開始する。

 バットがボールをとらえようとした瞬間、ボールが急角度で落ちる。

 地面を抉るほどの急角度とスピードで落下するボール。

 フォークボールだ!

 バッターはボールが消えたと錯覚し目を大きく開く。バットはむなしく空を切る。

 ゲームセット!

 主人公と相棒のキャチャーは抱き合い、憧れの甲子園へと物語は続く。


 という感じがカタルシスを産む話。


 この話の構造は下記。

 1 主人公がピンチになる

 ⇒読者に適度なストレスを与える(ストレスが大きすぎると離脱の原因になる)

 2 主人公がピンチを切り抜ける

 ⇒読者をストレスから解放する


 違う形だが勧善懲悪物、TVの暴れん坊将軍や遠山の金さんもカタルシス。

 一時間をかけて、読者にストレスを与え(長屋に住む貧乏な親子に理不尽が降りかかる)、読者をストレスから解放する(松平健扮する将軍様が、バッタバッタと悪いヤツをなぎ倒し、正義を貫く)。


 この読者にストレスを与えて、ストレスから解放する塩梅が難しい。

 構造自体は単純なので、理屈は誰でも理解出来るのだけれど、小説を書く、つまり実践するとなかなか上手く行かない。


 AIは、大まかなストーリー(プロット)を組み立てるのは、上手いと感じるけれど、こういった小説家が使うテクニックの部分は、どこまで再現できるのかな?

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