ぽかぽかの日

「うぅ……[好きな名前を入れてね]~」


 あら下僕がまだ巣で寝ているなんて珍しいですわね。

 それはそうとお腹が空きましたわ。


「ほら栄養補助食品とスポーツ飲料、ここ置いとくからちゃんと寝とき」


 世話役、私のために下僕の巣の蓋を開けるとは分かってるではありませんの。

 その調子で下の巣の蓋も開けてくださいまし。

 行きますわよ。



 なんでついてきてませんの!?

 あ、来ましたわね。遅いですわよ……


『……って、どこ行くんですの!?』


「あ、[好きな名前を入れてね]ちゃん自分であけれるでしょ?」

『早く開けるんですわ』

「仕方ないわね~」


 それでいいんですの。

 今日のカリカリは何味かしら――


『――少な!? 足りませんわ』

「いってきま~す」

『待ちなさい、カリカリを……』


 遅かったですわ。

 あの鳴き声、世話役はしばらく戻って来ませんわね。


 仕方ありませんわ、下僕を起こしましょう。



『カリカリを寄越すのです』

「おぉ[好きな名前を入れてね]、心配してくれてんの? ありがと~」


 違いますわ、撫でるんじゃねーですわ!


『カリカリ、ですわ!』

「え、なに? 撫でてないでおとなしく寝てろと」


 ちょっと、なんで寝るんですの!?

 私はもう少しカリカリが食べたいんですのよ。


「も~なに[好きな名前を入れてね]。あ、肉球冷たくて気持ちい~」


 あら? なんだかいつもより体温が高いんじゃありませんこと?


 まさか、まさか……今日はぽかぽかの日なんですの!?


 やっとですの? もうだいぶ温かくなってきましたのに。


『もっと寒い日にしてほしかったですわ』


 ぽかぽかの日の下僕はいつもより温かい代わりにあまり動きませんのでカリカリは期待できませんわね。


 寝ますわ。


「えっと、あの[好きな名前を入れてね]さん?」


 ぽかぽかですわ~。


「マッサージしてくるのは嬉しいけど」


 ふみふみですわ~。


「みぞおちはやめて?」


 ふみふ……


「お尻むけてないで……って、もう寝てる」

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