第25話
一日の旅路の末、遂に俺達は都の学校、正式名称『帝立マグナイト学園』に到着した。
受験会場となるのは、学園内のB棟。
受験内容は加点式の多項目型。
詳しく言うと、筆記が三つ(国、数、魔)、実技が三つ(術、詠、戦)。
最後に魔力量の測定と属性鑑定の全800点満点。
その内400点以上が合格ラインで、合格人数に応じて点数の順番でクラス分けがされる。
なお、クラスは上からS、A、B、C、D、Eの六つとなる。
もちろん、出し惜しみをする気は無く、俺もハクも目指すのはSクラスだ。
◇◆◇
筆記のテストは、まあ簡単だった。
八歳向けの難問を解けない訳も無い。
国語は文字の読み書きと文法、慣用句等の問題。
数学は算数程度の四則演算とその応用問題。
魔法学は、何故か魔法の相性や思い付く魔法の名前問題。
流石にオリジナル魔法は駄目だろうと思って、事前に調べておいた魔法の中からそれなりの数を書いた。
次に実技のテストということで、学園内に配置された訓練場へ移動した。
最初に行ったのは魔法を的に撃ってその威力を図るという物だった。
だが、流石に的を破壊するのは常識的に駄目だろうと思い、魔力弾を撃つだけにした。
次に詠唱で魔法を発動する際に、どれだけの効率を以て魔法を行使するのかを見る詠唱のテスト。
これについては俺も全力を注いだ。
効率を求めるという項目は俺にとっては最高の得意科目。
そんな初歩的な事を俺がやって来なかった訳も無く。
最後に戦闘ということで、魔法をどれだけ実戦に使えるのかを試すためのテストだ。
『あんまやり甲斐が無ぇなぁ!実戦テストならまだマシかぁ?』
マキが飽き始めた辺りで、俺の番が来た。
対戦相手はこの学園の教師らしい。
「さて、受験番号109。魔法での戦闘だが、基本的には型にこだわる必要は無い。そちらから掛かって来い。」
との事だから、遠慮無く。
「『魔力弾』『倍加50』」
親指の先程度の大きさの魔力の玉を五十個。
数による回避率の低下と、小ささによる捕捉不能を狙った初見殺しの一手だが、どうやら効いていないようだ。
「『魔力剣』」
「ほう、【無】属性魔法が続いている様だが、対策を気にして出し惜しんでいるのかな?」
いいえ、【無】属性しか使えないだけです。
この魔力シリーズは種類こそ豊富なものの、投擲用の消耗品としてしか使えないので、一定以上の実力を持つ的には効果が無い。
今もクルクルと回しながら、相手に牽制をするだけになっている。
「『魔力拳』!」
魔力を両手に纏わせるという脳筋戦法をとる事にした。
急接近した所を早期決着させたい。
「なにっ!?」
突然の襲撃に仰け反った教師のバランスを崩し、そのまま地面に背中を押しつけるように殴りつける。
「ぐっ!!くっ、合格だ。100点をやろう。」
「ありがとうございます。」
試験終了の言葉を貰い、教師に頭を下げる。
そのまま足元に『癒善草』ポーションを置いて、そのまま会場を去った。
◇◆◇
「ノァー!どうだった?」
「ああ、手応えは良かったと思う。次は魔力量検査と属性鑑定だけだな。」
二人で話し合いながら、次なる会場へ向かう。
さて、ここまで来ておきながら、まさかとは思うものの、テンプレートの呪いというのは実在するらしい。
「アンタ、そこのアンタ、ちょっと待ちなさいよ!」
「ん?」
「『ん?』じゃないでしょ!さっきから見てたけど、アンタどんな手を使ったのよ!」
嫌な予感と声の元に目を向けると、なんとも気の強そうな釣り目の少女がこちらを見て怒鳴ってきた。
神の加護か、それとも生まれつきか、こういう
『創造神の加護の影響だよ。』
「嘘だろ......」
「ふん!図星のようね!さっさとこの学園から出て行きなさい!」
「いや、そういう訳では...」
パルエラとの会話で変に誤解をされたらしい。
マジで申し訳ない。完全に俺のミスである。
「とりあえず、次に見かけたら容赦無く言い付けるからね!」
そう言うとガツガツとどこかへと行ってしまった。
「なにあれ?」
「えっと、なんだろね。」
嵐の様な少女だった。
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