第11話

最初に軽く人物紹介。本編だけ読まれる方は下にスクロールして飛ばしてください。


上野天うえのてん

最強と謳われた両親を失い、ダンジョン病の美玖という妹がいるので、その延命のために無能と蔑まれても日々ダンジョンに潜り続ける主人公。ある日、彼女を寝取られダンジョンに置き去りにされてゴブリンに嬲り殺された……。そのはずだったが女神の気まぐれで異世界に飛ばされ、勇者として魔王を倒した後、現実世界にその力を持ったまま帰還。

自分と自分を庇って前の世界線で殺されたパーティーメンバーの復讐を決意し、現在進行形で悪夢ナイトメア記憶消去メモリークリアなどで実行中。自然の理に背かないという形であれば基本何でもできる。チート。

通称“探索者養成学園一の落ちこぼれ回復術士”


西野奏多にしのかなた

主人公のことを庇い主人公と一緒にダンジョンに置き去りにされた少女。魔術師。

庇った際に九条に負わされた傷によってダンジョンで死にかけた際にもう死ぬからと主人公に告白するも主人公の回復魔法で一命を取り留めてしまう。

彼女自身は復讐というより、主人公が負わされた傷を癒すことを最優先課題としている。


九条彗人くじょうすいと

主人公の所属していたパーティーの元パーティーリーダー。遊び相手として主人公のカノジョを寝取り、置き去りにした上、別の女子と浮気をしている頭おかしいやつ。主人公の見せる悪夢ナイトメアによって……。

主人公たちの通っている学園の学園長を務める父親を持つ。剣士。


橋下加奈はしもとかな

主人公の元カノ。九条が遊び相手として主人公から奪った少女。主人公の見せる悪夢ナイトメアによって男性恐怖症に。現在、保健室に籠っている。本編では関係ないが強化魔法の使い手。


悠乃ゆの

名字不明。(出てこないだけ)表では久保田という男子と付き合う傍ら、九条と浮気をしており、九条の本命の女性。主人公の記憶操作により、九条と浮気していたことを忘れて、久保田くんに一途な少女になった。なお久保田くんも周りの記憶も主人公によって消されているため……。


久保田颯志くぼたそうし

前述の悠乃という少女と付き合っていたが、主人公に九条とカノジョが浮気していることを話された結果、あまりの辛さ、苦しさなどから自分の記憶から悠乃さんに関する記憶を主人公に全て消してもらう。



本編短めです。キャラ紹介入れたというのと筆者が新学期が始まるので忙しいということで許してください。


———————————————




「やらかしたぁ……」


 翌日、僕が目を覚まし、窓の外を見るともうとっくに太陽が昇っていた。どうしても昨日の夜のうちにやっておきたいことがあったのに起きれなかった。魔力の過多使用で自分の想像以上に疲れていたらしい。これだけ寝てもまだ少し僕の体は倦怠感に包まれていたが、強引に体を起こし、魔力が足りないからこうなっているのにも関わらず魔力を使い、自分自身に疲労回復魔法をかけて疲労を誤魔化した。


 どうしたものか悩んだが、自然の理に背くので僕に時間は戻せない。まぁ仕方ない。加奈に関する事実の書き換えは今日の夜にやろう。手遅れでないことを軽く祈る。


 僕はそう割り切ると、朝の支度をした。


 自分の教室に向かう際に、僕は隣のクラスを覗こうとする。するとその瞬間、悠乃という女子が泣きながら教室を飛び出してきた。僕はそれを躱して今度こそ教室を覗き込む。教室は久保田くんを中心にしてざわめいていた。


「頭おかしいんだろ。だって付き合ってなかったじゃん、そもそも。何言ってるんだろうな?」

「最早あれだけ好かれてるの羨ましかったぞ。普通に美人だし。あんだけ迫られるなら付き合ってみればいいやん。あんなこと言わずに」

「いやぁ、何故かわかんないんだけど生理的嫌悪感っていうのか、本能が拒否してるっていうのか……。とにかくそういうのがあって……」

「なんだそれw」


 久保田くんがクラスメートと楽しく談笑しているのを僕は満足げに眺めると、悠乃さんの後を追い、思考解析を行う。


(なんでなんでなんでなんで?颯志くん、私のこと忘れちゃったの?それに周りの人もおかしかった。まるで私と颯志くんが付き合ってたことを忘れちゃってたみたいな……。全員私の言ったことに眉をひそめてきたし……。どういうこと?分からないよ……)


 あなたも浮気していたという事実忘れているんですけどね。そう突っ込みながらも大体予想通りなことに僕は笑みを浮かべる。しっかり悩んでくれているようで結構。あといくら騒いだところでそれが久保田くんの心に届くこともなさそうだけどこれからも精々足掻いてください。それとこれで終わりってわけじゃないからね。楽しみだね。これからの計画にも僕は心を躍らせる。


 少し時間がまずくなってきたので僕は駆け足で教室に駆け込む。九条はっと。


 九条は悪夢の影響もあるのか、少しソワソワとしているだけでまだ何も行動を起こしていなかった。こちらにも思考解析を行う。


 こちらも大方予想通り。ただ、僕のことを殺そうとした理由とか、今まで我慢していた理由とかの部分でクエスチョンマークが浮かんでいたが。あとで理由付けでもしておくか。どんな理由にしようか……。


 というより九条が今日別れを告げに行くのか……。昨日の放課後、僕が魔法をかけたからその後すぐに行動しに行くと思ったのにな。なんでか分からないけど効くのにラグでもあるのかな?だったらまだ加奈を男性恐怖症にしておいてよかったな。加奈には悠乃という女子に何故か届かない、会えすらしないとなったところで遊び相手に会いに来た九条を潰すのに使いたかったから。


 もちろん、そう都合よくいくとは限らないから、万が一に備えて思考誘導もかけておくか。悠乃という女子に飽きたら、加奈で遊ぶかと。発動条件を悠乃という女子にフラれたらっていうのと僕がこの後加奈にかける魔法と同時起動に設定と。そう術式だけ練っておく。


 さぁ、九条。頼むぞ。——放課後からお前の人生は崩壊を始めるからな。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る