第4話 東方見聞録 驚異の書

 東方見聞録という書物をご存じだろうか。本が散逸され、完全なものが残っていないとされていて、138種類の本が存在する。口述したのは、マルコポーロという人物である。彼は、ローマ教皇へ返書を届ける者たちに同行するという形で旅をし、そこで見聞したものを記録したものが、先述した書物である。

 その書物は、全4巻あり、その内の3巻目に日本の記述があった。

 その内容は、日本を黄金の国と称されていて、中尊寺金色堂を彷彿とさせる描写が残っていた。また、日本人は人喰い人種という記述も存在している。これは、ヨーロッパのほうでは、東に行けば、残忍な人喰い人種となるものが存在するという思想に基づいたものであった。そして、マルコポーロの父は商人である血を受け継いでいるのか、日本の政治、軍事に関する記述の内容は薄く、金銀財宝など、お金に代わるものの記述が多く存在していた。マルコポーロは、父のあとを追うように、豪商となるわけだが、そんな誇張混じりの記述にもある記述が存在していた。

 それは、石の存在である。

 東方見聞録には、こう記されていた。

「日本軍が奇跡の石で勝利を手にする」

 しかし、その石がどんなものであるか、わからない。

 東方見聞録を拝読するコロンブスが次に、黄金の国、日本へ出発をしようとする。当時は、大航海時代である。スペイン ポルトガル オランダが海上の派遣を握ろうとする時代である。金は、もちろんであるが、その石を入手することで、世界を牛耳ることができるのであれば、喉から手が出るほどに欲しいだろう。

 スペイン王室は、当初日本までの航海を良いとしていなかった。しかし、ルイス・デ・サンタンヘルが、どうやら日本には、その奇跡の石とやらが存在するらしい、その石を手にさえすれば、覇権国家スペインも夢ではないと考え、王室を説得したのである。

 しかし、コロンブスは、出航するも、日本ではなく、アメリカにへとたどり着いてしまった。

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