第2話 理由

 ギベオン隕石

 1936年、アフリカ大陸 ナミビアで発見された隕石である。地球と同年齢といわれる石であり、ウィンドマンシュッタンテン構造と特殊なつくりになっている。

火星と木星の間の小惑星の中心核の破片が、人間にとって、心地よいエネルギーを発する今日、パワーストーンとして有名な石である。宝飾品として、取引されており、その界隈だと数万で取引されている石である。

そういったパワーストーンは、隕石、天然石、鉱物に至るまで、この世に数多く存在する。

特にその中でも、文明を発展させる要因の一つ、磁鉄鉱は現実的なパワーストーンであろう。その名の通り、強い磁力をもった鉱物である。今日には、様々なものに利用されている。強い磁力をもった理由は、雷という凄まじい電流に打たれたからだと説があるようである。

しかし、木内石亭が伝える石は、そのようなものではなかった。雲根志には、このように記されている。

「奇妙の宝を見るに、さらさらに気溢る」

 その下の絵には、黒く塗られた石の存在が記されていた。

 これだけだと、通常の石と何も変わらないものであるが、どうやら、ほんの一瞬だけシーボルトは、その石に触れることができたようなのだ。その時の感触は、「日本」にこのように記されている。

「It just looked like a stone, but it gave something powerful to me when I touched it. Something unknown runs though my body and I felt I was about to spread my wings. Yet I kept my hands off it soon because I had begun to tremble with fear.(ただの石しか見えないのに、触れたとたんに何か力強いものを感じた。得たいの知れない何かは、全身を駆け巡り、能力を発揮しようとする。しかし、私は恐怖からすぐに触るのをやめてしまった。)」

しかし、シーボルトは帰国後、再び、その石に触れたいという気持ちに駆られた。1848年アメリカでは、金の採掘と北太平洋の捕鯨業の背景から、ペリーが日本に開国を要求する際に、シーボルトは利用する船に乗船させてほしいと懇願した。

 しかし、ペリーは拒否をする。ペリーは、シーボルト事件を知っていた。日本から追放された人物を乗船させては、本来の目的である開国は果たせない。だから、乗船させなかったのだ。しかし、ペリーの乗船拒否をしたのは、本当の理由が別にあった。それは、石の存在である。

 モンロー教書では欧州には関与しないと謳っているものの、不可思議な石をアメリカの手中におさめることができれば、欧州をはるかに超える力を手に入れられるかもしれない。アヘン戦争に勝利したイギリスの後ろを追いかけるようにして、望厦条約を結んだが、石さえ手に入れることさえできれば、アジアを進出のみならず、世界の覇権を狙える。他国よりも先に、その石を手に入れる必要がある。

 そう、ペリーは、石を手に入れるために、開国を迫ったのだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る