清掃員

 最近の作業員は本当にだらしない。


 折角こんなに立派で合理的な処理施設ができても、結局は人の問題だ。


 実際、この処理施設は良くできている。

 汚水は自然と分離するように床底の形状が工夫され、中身を書出すのも簡単なようにできている。

 その上焼却施設まであるから衛生面でも従来の所より大幅にマシだ。

 よそではただ埋め立ててるだけの処だってある。


 だのにここの作業員どもときたら。

 たしかに最近の状況の悪化から、多少栄養状態が悪いのは解るが、それにしたって仕事が遅い。

 もっとキビキビやってもらわないと、到底追付かない。

 特に最近は「廃棄」に分類されるのも多い。


 仕入れ部隊は何をしているんだ。

 これじゃぁ、わざわざかき集めてただ廃棄しているようなもんだ。

 そうでなくったって、最近は処理の量が増えているのに。


 よその部門に作業員を持って行かれる事も多いらしい。

 ふざけるな。

 ウチはいつだって人手不足なんだ。

 この前なんて、現場監督の俺がわざわざ処理作業をする事もあったんだぞ。

 ろくに使えもしない開発部門に人を割くより、こう言う実際上問題のある処に回せよ。


 ああ、それにしたって、本当に最近の新入りは使えない。

 こっちだって喰うために必死なんだ。

 生きるのに必死なのはこっちも一緒なんだよ。

 こんな仕事だって、誰かがやらなきゃいけないだ。

 国を、社会を、支える為には、な。

 それが家族の為にもなるってもんだ。

 今度うちの次男坊がギムナジウムに入るかも知れないんだ。

 そうなったら、もっとカネが要る。


 ああ、また倒れやがった。


 自分が不甲斐無いのはしかたない。

 それで自分が倒れる分には、な。


 人の、俺の人生の邪魔をするなよ。


 ああ、こいつらがだらしないせいで、また残業か目標未達成だ。


 本当に最近の作業員はだらしない。

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