愛するおばあちゃんが死んで以来、何度殺しても死ねないボクは、毒魔法とかいろいろ強過ぎて向こうが死にまくるけど、死ねない理由が知りたい!〜『トリプルマジックストリート 第一部』外伝

霜月二十三

第1話 新天地、まずはギルドへ! ナンパチンピラは死ぬ。

 28%、なんの数字かって?

 ボクの故郷の子供や学生や公務員じゃない人達のうち、故郷の外について学び続けあるいは調べ続けてる人達の割合。

 直接的間接的を合わせてこの数字で、多いのは間接的。

 直接的に故郷の外を知ってる人は一割にも満たない。

 そして、ボクは今から、その一割未満になる。


 ボクの大好きなエカテリーナ、もといおばあちゃんが病気で死んでから一年以上。

 その間、ボクは知り合いを殺しては自殺を図り、知り合いを殺しては自殺を図りを繰り返していたけど、全然死ねない。

 見知らぬ天井が、見知った病室の天井になっちゃったぐらいだよ。

 あんまりに死ねないから、誰か変わった呪いでもかけてんのかな〜と思ってね。

 故郷の外なら呪いが届かないでしょ! と、ボクは海を越えて、はるばるここ、イーカセイザ大陸へやってきたってわけ。



 船を降りて、ヨーロッパ然した街道を歩くボクが、目指すところは冒険者ギルド。

 ギルドを目指す道すがら、女の子の嫌がる声が聞こえた。

 声のした方へ向かうと、脇道で「なあ嬢ちゃん、俺らと遊ぼうぜ?」とかなんとか言ってるチンピラの背中が二つ。

 こいつらの向こうに、あの声の主がいるのかな?

 とりあえず、女の子の姿を見るべく、こいつら削るか。

 もちろん、二人同時に毒魔法で、騒がれないよう、いつも通り声帯とその上を削ってから――よし、綺麗さっぱり亡くなったね!


「キミ、大丈夫?」

 今では塵同然のチンピラどもの前にいたのは、そこそこ長い杖を握りしめてる、いかにも魔女っ子って感じの、つばの大きい黒い三角帽子と黒いローブの、百五十センチのボクより少し背の高い女の子だった。


 かろうじて聞き取れる声で、何故かボクに許しを請いながら、丁寧に何度もおじぎをするこの子……おっぱいが大きい。

 おじぎで腕を寄せるときや、おじぎするときに、おっぱいが強調される。

 黒いローブ着てるのにおっぱいの大きさが見て取れるって、相当な大きさじゃない……?


 ボクが今まで見てきた女の子の中で一番大きいかもと、女の子の胸のサイズを考えてると、命だけは助けてください! と女の子の大きめの声が耳に届いたので気を取り直して、キミは消さないから安心してなどと、女の子をなだめる。


 なんやかんや、なんとか落ち着いた女の子に対して、「えっと、キミが良ければ、ああいう輩避けにキミの目的地の近くまで一緒にいようか?」と提案したら、「消しませんか?」と聞いてきたので、消さないと念を押したら、他の人も消さないでと言ってきた。


 そこからさらに、向こうを消さないと、こちらの生死に関わるほど危険な時しか、あの毒魔法を使わないとまで約束して、やっとボクの同行を了承してくれた。

 まさかギルドに行く前から、こんなに疲れることになるとは思わなかったよ……。


 内心ひーひー言いながら、女の子に目的地を尋ねると、冒険者ギルドと答えた。

「なんだ、ボクと一緒じゃん。ボクはロビン・ソンビェ。キミの名前を聞いてもいい?」

「えっと、ハンナ、です……」

「ハンナちゃんね。じゃあ、行こっか」

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