第8話 なぜかいる


「美優??」


 俺が問いかけると、ハッとした表情をしてこちらを見てきた。


「何でもない」

「そ、そう?」

「うん。それよりも、明日から朝ご飯も作りに来るからね」

「あ、ありがとう」


 その後、夕食が終わり、軽く雑談をした後に美優を駅まで送る。


「ここまでありがと。明日からよろしくね」

「うん。こっちこそよろしく」


 俺は美優が見えなくなるまで手を振り、家に帰るとすぐにお風呂に入る。


(はぁ~)


 それにしても、美優のあれは何なんだろう。


 学校で見せている美優は、美人でおしとやかって雰囲気であるのに、たまに今日みたいにバグるときがある。


(ま、まあ俺には関係ないか......)


 俺はそう思いながら風呂を上がると、携帯には十件以上に渡る連絡が入っていた。


(え!?)


 すぐに内容を確認すると、すべて美優からであった。


{今日はありがと~}

{明日7時にはいくね}

{朝ごはんは何が食べたい?}

{ねえ、聞いてる?}

{なんで返信をしてくれないの?}

{もしかして事故にあった?}

{それとも、ほかの女と会っているの?}

{なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで?}

{返信してよ}

{もうゆうくんの家に行こうかな......}


(これはやばい!!)


 自分でも何が起きたのかわからなかったが、すぐに美優に返信をする。


{遅れてごめん、風呂に入ってた}


 すると、十秒もたたないうちに携帯が光る。


{私も連絡しすぎてごめんね}

{あ、あぁ。大丈夫}

{じゃあまた明日!!}

{お休み}


 俺は胸をなでおろしながら、そっとベットの上に携帯を置いた。


 その後、テレビを見ていたら寝てしまっていた。


 目を開けると窓からうっすらと光が差し込んできていたが、ベットの上で二度寝をする。


 そこからどれぐらい時間が経っただろう? 耳元から名前を呼ばれている気がする。


「ゆうくんゆうくん」

「ん~~~」

「朝だよ」


 目を開けると、美優が俺の上に座っていた。


「え!? なんでいるの??」

「なんでって家の鍵空いてたよ」

「嘘......」


(俺自身、そのことに驚きを隠し切れなかった)


 そう考えていると、美優が満面の笑みで言う。


「朝ごはん出来てるからね」

「あ、ありがと。着替えるから部屋から出て行ってもらってもいい?」


 すると、少し顔を赤くしながらこの部屋を出て行った。そして、俺がリビングに行くと、美優が椅子に座って待っていた。


「食べよっか」

「あぁ」


 二人で朝食を済ませ、学校に向かった。


☆ 


 こんな生活を始めて半月が経たち、俺以外にも美優の私物が徐々に増え始めていた。そんなある日、上野たち全員が俺の家に来ると言い出した。

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