ひろしの夷険一節

改淀川大新(旧筆名: 淀川 大 )

まえがき

 待ち望んだ桜の花がようやく開いて安堵する、嬉しい春の今日この頃、皆さま如何お過ごしでしょうか。

 多事多端に煩累及びのこととお察ししますが、威勢よく一月に立てた目標を、意地で通した二月が終わり、優先順位と銘打って、少しサボった三月も気付けば既に半ば過ぎ。溜まったノルマと怠惰のツケで、入学式や父兄会、異動先での歓迎会に穿いていくズボンやスカートの釦が止まらず汗をかく、そんな時期ではありませんか。

 今年はやるぞと拳を握り、決意新たに再スタート。リボーンするのよ私。やるか、なまけるか。正に人生の岐路に立たされる時期と言えるでしょう。

 さて、こんな多忙で重要な時期にもかかわらず、アニバーサリーと称して短編投稿企画を打ち立てるカクヨムさんは、いったい如何なる所存なのであろうか。御社ではアニバーサリーかもしれないが、私には関係ない!

 カクヨムは大人が運営しているのではなかったか。大人なら分かっているはずだ。社会で稼働する一般的な大人は職務が猛烈に忙しい時期であり、学生たちも期末テストや受験や卒業と学年替えの時期などで繁忙期、要するに今は人々の人生が懸かった勝負の時期だという事を。こんな時期に妄想を巡らせて小説を書いている時間などあろうか!

 しかも「七七七字」以上で「お題が七つ」って、知らんがな! 七周年だから。いいわけだ。創作論理の上でその字数に設定する、または、七章にする明確な理由があるとは思えん!

 あえて言おう。私は、そんな恣意的な条件に従うつもりはない!

 私はこれからも、私の作品を読み、楽しんでくれる読者のために、読者が楽しめる字数で、読者が納得できる章立てで物語を綴るつもりだ。

 入学やお花見会のシーズンに咲くことを人間から求められても、風の温度と大地の求めに応えて花開く桜のように、孤高の素人作者であり続けたい、そう思うのである。


 二〇二三年 三月吉日 淀川よどかわ ひろし

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