第14話 執筆前の準備
色々あったけど、書き始めるための気持ちも高まってきたのでペンを執ることにする。実際にはパソコンに向かってキーを打ち始めるわけだけど、いざディスプレイを前にしても何を書いて良いのやら……
「か、書けない……」
「もう何を書くか、内容は決まったのか?」
「えーっと、はい。異世界ファンタジーものを書いてみようかと」
「いきなりレッドオーシャンに飛び込むとは、根性があるのお」
レッドオーシャンって……確かにカクヨムでも投稿数がダントツで多いジャンルだけど、もともとそういうジャンルの小説を書きたかったのだから仕方がない。書きたい物が書けない様では、そもそもやる意味もないし、と言うちょっとした意地もある。
「ストーリーは決まっておるのか?」
「まあ、何となくは」
「何となくでは、書けんじゃろうなあ」
詩織さん曰く、書き始める前に必要な要素がほぼほぼ決まっている方が良いらしい。
・世界観
・主人公とその目的
・その他登場人物の名前
・多くの国が存在する様な世界観なら、その国と地図上の位置など
・話の展開
・世界観を決定付ける要素。魔法、人種、階級、職業、生物、通貨、食べ物などなど
「ああ、そんなこと全然決めてなかった……」
「もちろん人によっては文章を書きながら決めていく場合もあるじゃろうがな、それでも何かしらの設定は書き始める前に決まているはずじゃぞ」
「なんか、『書く』作業よりも全然やることが多いんですね」
「当然じゃな。お主も仕事で資料をつくることがあるじゃろう? その場合、色々調べるんじゃないのか? それと一緒じゃ」
確かに資料を作る時は色々と調べて、その結果をまとめて一つの資料になる。なるほど、そう考えると小説はしっかりした設定があって、それをストーリーとして書き起こしたものと考えられるんだ。
「もちろん人を惹き付ける文章の書き方と言うものもあるじゃろうが、内容がなければそれも書けんからな。聖也の様な初心者は、まずはしっかり設定を練るところからやった方が良いのではないか?」
「そうします」
いきなり躓いてしまった。これが課長の言っていた苦労ってヤツなんだ。でも、これぐらいで挫けてはいられない。よし! できる所からやっていこう!
まずは世界観は『西洋風の異世界』でいいかな。いわゆる『ナーロッパ』と言うやつでネットでも賛否はあるみたいだけど、僕みたいな素人には有り難いテンプレート設定。何かしら個性を出したいと言う欲もあるけど、それはもうちょっと設定が固まってから考えよう。
「ところで、地図とか国とか街の位置とかって必須なんですか?」
「まあ、どの程度の世界観を想定するかにもよるが、何かしら一つの国、都市だけに閉じた物語なら不要じゃの。しかし多くの国や街を跨ぐ様な冒険ものを書きたいのであれば、位置関係が分かった方が良いじゃろう?」
位置関係が分かると距離感を出せて、且つその移動の過程を文章に書けると言うこと。世界観の広さや、国と国との対立などを書きたい場合、地図的な位置情報は決めておいた方が物語にリアリティーが出るんだって。僕が考えていたのは、何個かダンジョンがあって仲間を作りながらそれを攻略する物語なので、やっぱり地図はいりそうだな。
「でも地図なんて書いたことなしなあ。適当に決めちゃっていいものなのか……」
「空想世界なんじゃから適当でも良いのではないか? ネットを探せば、ファンタジーマップを作ってくれるサイトもあるがな」
「そんなのあるんですか!?」
って言うか詩織さん、そんなものまで検索してたんですか。もう僕よりネット達人ですね! ついでに西洋風の人名をイッパイ作成してくれるサイトも教えてもらった。
「ふぇ……知らなかったら地図や名前決めるだけで挫折してたかも」
「ネットとは凄いものじゃな。我々神も多くのことを知ってはおるが、ネット中にある知識量には到底敵わんからの。ネットはまさに情報の神じゃな」
神様が職業放棄するようなこと言っちゃ駄目ですよ、とは思いつつ、確かにネットにはあらゆる知識が散りばめられている。小説を書くに辺り、どれだけ上手くネット検索するかも必要な技術なんだろうな。僕も詩織さんに負けない様にググらなければ!
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