第24話 “菜”

僕は急ぎ、菜の家と向かった。菜は起きている時間帯は、境界線での記憶がない。寝ている間だけ記憶が蘇る。たぶん睡眠中は現実世界との曖昧な時空空間のため元に戻れるのだろう。しかし今は時間が無い。記憶ない状態だ。”信じてくれるだろうか。“カイが菜をさらいにいく。その前に。僕は途中Taxi を拾った。“時間が無い”ワンメーターも上がらず目的地に到着。1Fインターホーンを鳴らす。運良く“菜”が出た。「僕だ。ナダだ。時間が無い。頼む会ってくれ。」「時間が。」少し間があり、「いいですよ。1Fで待っていてください。」「菜、わるい。ありがとう。」僕はエレベーターのライトを見た。8Fが赤くなる。7F,6F…緊急事態なのに僕の心は不謹慎だ。エレベーターの数が少なくなると“菜”に会えるうれしさが、危機的状態を超えている。1Fエレベーターが開く。”誰もいない。“「菜どこだ。」「菜ー!」僕は、叫んだ。からっぽのエレベーターのドアの中から声が聞こえた。「お兄さん、少し遅かったですね。生け贄の”菜“は、頂きます。」僕は、ドアを叩き叩き、破壊した。「菜ー!」僕の全身を怒りの光が覆う。エレベーター、エレベーターホール、玄関,僕は次々に手をかざし、叩き壊していった。玄関外、空の色が灰色に変わる。時空空間の歪みで空が、空が、ひび割れている。僕ら異世界人以外はすべてが静止している。人間にネコ、車、鳥、風さえも止まったままだ。上空に菜をを抱えたカイが宙に浮いている。横には濃い緑の毒々しい色のマントを羽織った男がいる。「やめろー。」僕は全能力を使い叫んだ。時空空間の亀裂が更に深くなり鱗のようにパラパラと地上に落ちてくる。カイが叫ぶ「お兄さん、無駄ですよ。もう菜は彼に渡しました。僕は闇の力を得ました。これで”京”の世界も僕のものです。国王にも僕の力を認めさせる。」高笑いのカイの横でマントの男は”菜”を抱きかかけ片手でカイに手をかざす。“菜”は気を失っているようだ。「愚か者。」光が放たれ、カイは地面にたたきつけられる。「ズドーン。」地上の僕の真横にのめりこみ叩きつけられる。マントの男は「カイ、だから君は、国王から信頼されないんだよ。騙されていることに”なぜ“気づかないのかね。君みたいな、ずるくて弱い人間に3世界を支配する“生け贄”菜を渡すわけないんじゃないか。ほんとに君は愚かだ。」マントの男は片手を上げ攻撃の光を放った。カイは地面に叩きつけられ、のめり込んだ。カイは口から血を吐き唾を飛ばし立ち上がる。「Woo-」カイの全身から僕と同じ怒りの光が放ち出される。カイの身体が瞬時に宙を飛ぶ。マントの男の真横に並ぶ。カイの怒りの力が爆発する。鋭い光の矢が男を襲う。マントの男は”菜‘を宙にねかせ、右手をかざしバリアを張り巡らせる。カイの怒りの矢が、跳ね返る。矢はカイの身体を貫く。防御しきれず、カイは再び地面へ落下し、叩きつけられる。僕はカイを手当てする。僕は手をかざし、治癒魔法を使う。治療しながら傷ついたカイが「お兄さん、ごめんなさい。」全身血だらけのカイが、絞り出すよな声で僕に言う。「カイ、大丈夫だ。今は黙れ。治してやる。」僕は全能力で治癒魔法の光のエネルギーに集中する。頭上よりマントの男の高笑いが聞えてくる。「さあ、これで生贄”菜”は僕の物です。これから3世界を僕が支配します。儀式のために境界線世界の”菜”の血をこの時空空間に流し僕は支配びとと、なりますよ。」マントの男が気を失っている仮死状態の菜にナイフを刺そうとした瞬間。僕は瞬時に空間移動をしマントの男の頬を殴り飛ばしタた。予想外の僕の行動に一瞬、時間が止まった。誰の力だろう。僕はもう一度、大きく殴りかかったが、マントの男はひるまなかった。『力が足りない』僕は瞬時に僕の力が劣っていることを認識。認識するまもなく地面に叩きつけられる。『力が違いすぎる。しかしこのままだと菜は死んでしまう。「菜」心のそこから叫び続いた。マントの男はすべての矢を菜に向け「やめろー」僕は全能力を解き放った。次の瞬間、無数の矢が菜を狙う。僕は地面に叩きつけられたまま、動きが取れない。「もうだめだ。菜!」口にした瞬間「ナダ、何やってるんだ。早く助けに来い。」生意気な菜の声がする。菜は宙で起き上がり。「ナダ、相変わらずだな。こんな相手に何を手こずっているんだ。」菜自身から爆風的な量の光と矢が放出され、マントの男は一瞬にして消滅した。菜は宙に浮いている。僕はいつもの菜であることを確認した。「あの日の生意気な菜だ。」




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