第2話 雨ふり

今日も冷たい雨ふり

もうずっと雨ばかり


大きな道路から

細いわき道に入ると

古い神社がある


古い神社ののき下には

ボクのお家がある


母さんと妹とボク

体をくっつけ合う

あったかいお家がある


のき下から見上げると

大きな空が見える


あたたかな太陽さんも

きれいなお月さまも

お空いっぱいにかがやく

お星さまも見える


お空から落ちてくる

白い雪も冷たい雨も

ぜんぶ見ほうだいなんだ


袋いっぱいにつまった

おいしいごちそうを

母さんがいつも運んでくれる


お家から遠いけど

ご飯の置き場があるんだって

母さんが言ってた


でも急いで行かないと

大きなクルマが

どこかに持っていってしまうんだって


冷たい雨がふる日は

置き場にもご飯が無いの

だから妹もボクも

おなかが空いてもがまんする


いつもはあたたかい

ダンボールのお家だけど

雨が吹きこむと

ビショビショになる


妹もボクもさむくて

くっつけた体が

ブルブルふるえちゃう


どうしたのかな

ご飯を取りに行った

母さんが帰ってこない

夜が三回も過ぎたのに


四回目の夜

くっついていた妹の

ブルブルがとまった

それにね朝になっても

起きてこないんだ


お家から出ちゃダメって

母さんが言ってたけど

おなかが空いたから

ボクはご飯を取りに行く


ご飯置き場は

大きな道路の近くだって

母さんが言ってたから


冷たい雨のなか

遠いけどがんばって歩く

ご飯置き場がある

大きな道路の近くまで


妹が待ってるし

母さんもおなかを空かせて

帰って来るからね


やっと着いた大きな道路

かさで前が見えない

自転車がすごい早さで

ボクの前に走って来たんだ


ゴンって大きな音がして

自転車とぶつかっちゃった


自転車はそのまま行ったけど

ボクはちっちゃいから

道路の電柱まで

飛ばされちゃった


体はいたかったけど

大丈夫だよ

ボクはお兄ちゃんだから


でもね不思議なんだ

まわりの景色が

みんな紅く見えちゃうんだ


ちょっと疲れちゃったから

電柱の下で

すこし休ませてもらったの


不思議なんだよ

ビショ濡れの体も

もうぜんぜん寒くない

おなかが空いていたのも

忘れちゃったんだよ


それにね

とっても うれしかった


お空の上の方から

母さんと妹が

やさしい笑顔で

ボクを迎えに来てくれたの・・・・・

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