《500PV突破!》僕の彼女は筋トレ系Vtuber!!
朝霞まひろ
筋トレ系Vtuberとの1日 1
朝6時半。
スマホのアラームで起こされる。
アラームを消すついでに、ロックを解除する。夜中にたまった通知を消して、動画配信アプリを開く。登録チャンネルの一番上、ライブ配信中のサムネイルをタップする。
「……はぁ……はぁ。みんなぁ。ついてっ、これてるぅ?」
配信画面では、ショートカットの美少女は一滴も汗をかいておらず、飄々とした表情だ。でも、声だけは疲れていて、色っぽく聞こえる。そのギャップが面白い。
「さぁ!ラストスパート、ジョギングだ!みんな、がんばろー!」
僕はその声を聞いて、布団から出て一緒に走り出す……わけではない。横画面だったスマホを縦に戻して、誰もいないキッチンに向かう。スマホの声に耳を傾け、少し赤面しながら、コーヒーと朝食を用意する。
「はぁはぁはぁはぁぁ……。みんなぁぁ、あとぉ、5ふぅんだよ。」
親が居たら絶対リビングで流せない音声だな。ただ運動しているだけなのに。
「さぁ。あとぉ、ちょっとだよぉ。はい、1、2、1、2、1、2……。」
「ふーー。はぁはぁ。……みんなぁお疲れさまー。」
一体、視聴者の男性陣の中で、一緒に運動していたのは何人いるんだろう。
「しっかりストレッチしようね。スパチャしてくれた人、ありがとー。夜の枠でお名前読むね。今日も見てくれてありがとー。よければ、高評価とチャンネル登録お願いします!それじゃあまたねー。バイバーイ!」
画面では、よく聞くBGMとエンディングが流れている。それを確認してから少しして、僕は地下室に続く階段を降りる。地下室、なんて男のロマン溢れる響きだけど、実際は父の仕事の関係で作ったトレーニングルームだ。僕は、地下室の扉をノックする。
「はーい。入ってきていいよー。」
「おはよう。せり。朝から頑張るねー。」
「たっちゃん、おはよー。いやー、いい汗かいたよ。たっちゃんもやろうよ。」
「やだよ。ギリギリまで寝てたいもん。よく毎日続くね。」
「運動好きだから。それに……」
「うん?」
「みんな、応援してくれるから。」
そう。僕の彼女、せりは、あのセンシティブな配信をしていた、筋トレ系Vtuberなのだ。
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