第11話 智将、レイブン=アフタージ

レイブンはそもそも吸血鬼の王である。

言い伝えで良く日光に弱いなど、ニンニクや十字架が苦手などあるが、全てこいつには効かない。日光に弱かったらわざわざ日中に責めないだろうしな。


じゃあこいつに弱点がないのかと言うとそうでもなく、魔力に頼りすぎなところがあり魔力が尽きたらほぼそこら辺の吸血鬼も戦闘能力は大差なくなると言うことが弱点だ。


もうすでに何万体という魔物の召喚をしているため、魔力は半分近く削れているはず、この7分間でどれだけ魔力をなくせるかが重要になる。



「来ないのか?ならばこちらから行かせてもらおう。『デス呪縛スペル』」


死の呪縛は付近の地面が沼のようになり、対象者の足を絡ませることを目的とした魔法。


「『闇矢群グルームアローズ』」


幾千の弓矢が霧の中を突き抜けて対象者か向かって一直線に進む。死の呪縛と相まって回避不可能になる。



流石に何千ともある矢が来る位置なんて覚えてないし、把握できるわけもない。

まず沼から抜け出して、、


ヒュン!


キーーーン!


「ここだろ。智将と言っても凡人に負けるほどの脳だったんだな」


「…なんだと?」


惜しみなく魔力を使わせるために挑発をする。レイブンは意外と沸点が低い。


ビュオオオオオオ!!


一気に来た!さぁどこから来る!



キーーーン!キンキンキンキンキンキンキン



「どこまで耐え切れるかな。さっきの女よりも持つと良いが」






グサッ!


「うッ、、まずい…!」


あと何本あるかもわからない…こうなったら!!


ザッ!


「逃げるのか?まぁ懸命な判断だろう。だが、私はそこまで甘くないのだよ。『妖不乱』、この“地の果てまで追跡する吸血鬼”達から逃れるかな?」




吸血鬼は1体でも災害指数が14の魔物だ。スピードもそこそこ速いが、こっちにはジロウがいる。魔法を使われても避けられる。

このまま撒いてジロウごとレイブンに突進をする!!











ダッダッダッダッ!!


「ふん、足音を立てたらバレるに決まっている。いいだろう。“正面”から受け止めてやる」



「突っ込め!ジロウ!!」


「ウ゛ォンウ゛ォン!」


「『攻撃力超過』」 


ムキムキっ!


なっ!!ここでVIII等級魔法の身体強化魔法を!?


「構わず全身で突っ込め!」


ドンッッッッッ!!!

ミシミシミシ、ザザザザザザザッ



シューーーーーー……



「裏切り者には死刑を執行しなければならないな、、人間がいなくなっている…?」


攻撃力超過によって膨れ上がったその腕は、ケルベロスの全力の突進を止めるほどの豪腕になっており、鉄をも砕く強さになっていた。

そして今ケルベロスの脳天に鉄槌を、、、



ヒュッ!


「上だろう、人間!!」


腕をクロスする形で防御をするレイブン

レオンはそのまま剣を思い切り振り下ろし、ラザノフ戦よりもさらに強くなった威力で攻撃をする



パキパキっ


が、腕に刃が通ることはなかった。


「どれだけお前達が頭を張り巡らせても圧倒的な強さの前では塵となるんだよ。フンッ!!」


ドゴッ!


横からの殴打に反応できず、10m近く吹っ飛ばされた。

側から見ても戦力差は歴然。レオンの体力も半分を切った。


「あの腕反則だろ…!あの近距離だと反応できない、、ん?この剣は…フローズのか」


フローズは既に片腕を無くし、虫の息であった。生存確率も低く、レイブンという存在がいることで助けることも困難を極めた。



「剣、借りるぞ」


ジャキンッ!



「もう飽きたな。幹部がここに来る意味は無かったということか。『エレボス冥闇クラスター』」


魔力を半減させることで使えるレイブンの最上位魔法でありIX等級魔法。

超巨大な闇属性魔法で、球体の黒いものを放つ。


「ここで使ったら森ごと吹き飛ぶぞ!?」


それどころか帝国にも到達する…!


「残った魔力でも国を滅ぼすのには十分だ。お前にはここまで辿り着いた褒美として真っ先に死んでもらおう。」


ケルベロスに乗ったとしてもこの魔法からは逃げられない…どうする…!!


「我が魂に宿る神よ、あの暴虐の限りを尽くす悪魔を倒す力を我にくれたまえ。」


この厨二チックな言葉の主は!!


「ジャイド=ロバーネ!?外にいる魔物はどうしたんだ!」


「君が誰かは知らないが、名前を覚えててくれて嬉しいよ。外にいる魔物は僕の魔法で一掃さ。」


「私が魔物を召喚するのをやめただけだ。」


「君、ここは僕に任せるんだな、あの闇魔法は僕が対処しよう」


「ほざけ、何人増えようともこの魔法は止まらん。死ね、」


来る!!ジャイドと協力してなんとか国に到達するのを防がなければ!


「『黒闇地獄こくあんじごく焉魔えんま』!!」


技も厨二感満載なのかよ!!それにジャイドの魔法も球体?!

衝突して相殺させる気か…?




レイブンとジャイド、互いの魔法が衝突した瞬間。霧の森の至る所にあった濃霧が吹き飛び、木々もへし折れていった。

幹部の最高魔法に敵うわけもなく、ジャイドとレオンは『龗の冥闇』の餌食となった。















–ガルタナ王国–



「魔物はひとまず片付いたな、、、」


ドガアァァァァァン!!!


80km近く離れたガルタナ王国でも、その衝突音は聞こえ、そこにいた冒険者や騎士の生き残りを未知の強敵への恐怖に陥れた。



「教祖様の部下、ヘルムと言ったか。教祖様はどこにおられるんだ」


「霧の森へ向かいました。」


「なんの目的で?…まさか!あの爆発音は!!」


「雌犬のあなたが知る必要はないです。」


「なんだと…!?」


「それより、ユドルを国内に連れて守っててくれませんか。私はレオン様の援助をしなければいけないので」


「ヘルム、ユドルヲヒトリニシナイデ」


「大丈夫だよ、必ずレオン様と帰ってくる。雌犬はこう見えて国民のことを1番に考えているから。少しの間お留守番してて」


「ウン……」


「じゃあ任せました」


「お、おい!?ちょっと待て!話はまだ!」












–エントゥルーフ帝国–



「おいおいおいおい、なんだこりゃあ!!」


ヘルムよりひと足先にエントゥルーフ帝国にも帰国した“重戦車”ベッドロックは驚愕した。



「何をしたらこんな大穴が開くんだ…?もう少し国に近いところで打たれていたら…」


レイブンの魔法は冒険者28人、騎士55人を巻き込んだ結果となった。


「…!!おいジャイド!!お前、どうした!」


「ベッドロック…あの悪魔は危険だ…魔王軍の兵も全てあいつが“創り出していた”」


「何を…?それよりここで何があったんだ!なんだこのバカでかい被害は!!」


「君はこれから身をもって知るだろう。」


「逃げろ…ベッド…ロック……」


「ジャイド!?……お前がやったのか。あぁ恐ろしいくらいの魔力をお前から感じるぜ」


「お前のような筋肉だるまでも見る目はあるようだな」


「うおぉぉぉ!!」


「どいつもこいつも、、『闇矢群グルームアローズ』!」


グサグサグサッ!



「ぐぁっ…?!ぐおぉぉ!」


パシッ


「そこまで体に矢が刺さっても攻撃をやめないところは素晴らしい。が、闇雲にいっても勝てない勝負は山ほどあることを知った方がいい」



「くそがッ黙れぇぇぇぇ」


「忠告はしたからな、お前も死ね『闇矢群』」



ヒュン!!ドスッ!



「ぐあぁぁぁぁ、小僧ッ!!なぜ“貴様”が生きているのだ!!」


レオンは見計らっていた。レイブンの目から自分が対象として外れることを。

体力が残り1割を切りながらも慎重に背後を取りながら、、、

そして戦闘開始から5分、遂にレイブンの片手を斬り落とすことに成功した。



「はぁ…はぁ…お前の腕が元に戻った今なら斬れるぜ…渾身の一撃だったがな…」


「死に損ないがぁぁぁ!!『攻撃力超過』」


レイブンは再び豪腕になろうとしていた、

が、太く強靭な腕になることはなかった。


「ベッドロックのおかげで魔力が底をつきたな…魔力に頼りすぎなんだよ。“馬鹿”が」


プチンッ


レイブンは自分より下のものに自分を馬鹿にされるのを嫌っていた。


「ギリギリまで痛ぶってやる、そのあとで生首を晒してやる…!!」


「生首になるのはお前だ“馬鹿野郎”」



スキルの効果が切れるまで残り1分20秒















––––––––––––––––––––––––––––––––

この話を書くだけで1時間25分かかりました。

(いつもは40分なので約2倍)

いつもメモ書き程度に投稿する内容を書いているのにも関わらず、戦闘描写が難しすぎます…

至らないところもあると思いますが、もう少しで1章完結!頑張ります!(語彙力)






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