2023.3.29 朝のニュース
訃報とか、流れますよね。朝のニュース。
それをじっと、穴があくほど見つめていた息子(8)が、
「ママ……永遠のお別れ、しないんでほしいんだよ……!」
と泣きそうになりながら言う。
縁起が悪いんじゃ!! と突っ込みたくなるんだけど、本人はいたって本気だったりする。
「永遠のお別れ、しないように頑張るよ!」
「頑張るんじゃなくて、しないでほしいんだよ!」
永遠のお別れになりたくないのは私もヤマヤマなので……。うん、頑張る、としか言えないのだけど。
この子は寂しいという気持ちをちゃんと持っていて、人とつながろうとすることもできる。そして本当に優しい。
昨日も、夕飯に鶏肉を食べていたら泣きだして、
「鳥さんがかわいそうになった」
と言った。
「そんな気持ちになったんだね……」
この状態で「絶対に鶏を食え」と強制はしたくないので、「食べる? 食べない? ママが食べていい?」と一応確認し、いいというので、私が息子の分の鶏も食べた。かわいそうな鳥さんを貪り食っている母親。怖く見えたりしないのかな……。
「せめて野菜食べようね。野菜だってかわいそうだよ。無駄にしないのがいいよ」
と言ったら野菜は食べてくれた。
私も小学生低学年ごろ、スーパーで買ったアサリがかわいそうだから飼おうよ! と母親に必死にお願いしたことがある。夜ご飯に出てきた味噌汁は、複雑な気分になりながらもあっさり飲んだ。死ぬ前なら助けようと思うけど、もう味噌汁になっちゃったらね……。
しかし、息子は私よりも繊細なので、あっさりアサリを貪り食うというわけにもいかないのかもしれない。
ちなみに、だいぶ前にも一度、「お肉とかが、本当は、生きてた」ことを実感してしまった日があったようで、「かわいそうだ」と言ってきたことがある。
「そうか……じゃあ、お肉とか、そういうのやめてみる? ベジタリアンっていってね、そういう人もいるよ。唐揚げは鶏肉だからやめるでしょ、ステーキと、あとハンバーグも食べられないな、ほっけの開きもダメだし……そうすると、豆腐とか、ピーマンとか人参とかで頑張ってごはんを作って……シャケもお魚だなぁ、エビフライもエビだし、ええと」
と私が息子の好物を羅列し始めたところで、息子が
「まって! まちがえた。まちがえた!!」
とストップをかけた。そして、その日、彼は、「かわいそう」という感情を、いったん忘れることにし、キリッとした目をして、肉の話は無かったことにした。優しい息子も好きだが、こういう「なかったことにしました」みたいな、ちゃっかりした所も好きだったりする。たくましい(笑)
でも、ふとやっぱり、「生きてたんだよな」と思っちゃうんだろうね。
大豆ミートで肉じゃが作ったこともあるし、一番最初に通わせた保育園はベジタリアンな保育園だったし、肉がなくてもいろいろできるのは知ってるけど、私は人間は動物タンパクを摂ったほうがいい生物だと思っているので、家でまで子供の食事から肉を抜こうとしたことはない。
結婚前、「いのちの食べかた」というドキュメンタリー映画を観に行った事がある。肉や野菜が食卓に並ぶまでを淡々と撮ったものだ。旦那は私が観たがる映画にあまり興味を示さない。普通の映画は一人で行くことが多いのだけど、その時はノンフィクションだから旦那を誘った。アニメとノンフィクションは観る人なので、食いついてきた。
私が誘った映画に食いついてきたの、この映画だけじゃないかな。一番最初に誘った映画は、映画に興味があったんじゃなくて、誰かとデートしたかっただけのような気がするし。
で、この映画を観たときに、「ああ、価値観が合うな」という感想を、彼は言ったんである。映画館を出てすぐ、
「よ~~し、牛丼食べにいくぞ!」
……と言ったのだ。
「イイね! 行こう!」
なにもこの映画の直後に牛丼食うことねーだろ、って人もいると思うんだよ。ここ、合わない人は絶対合わないと思うんだよね。読んでくださってる方も、引いているかもしれない……。でも、私は、この映画の後だから、きちんと感じたかった。
二人で牛丼屋へ行き、「ありがとう」って言いながら(肉にとってはありがとうもなにもないだろうけど)お肉に感謝して美味しく頂いた。
そして、旦那のことを、なんて価値観の合う人なんだ、と思った。
私と彼は、水族館の後に寿司屋に行くタイプの人間だ。
ただ、その二人から生まれたからといって、生まれた子も同じ価値観とは限らないのでね。しかし、食事を作るのも、栄養バランスを考えるのも、私なのでね……。
今日の日記、ほんと、読む人にヒかれそうだなぁ。
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