第05話 お宝拝見


 ネクスード帝国、王城がある首都ネクスード。

中心に王城があり、広い範囲にその他の施設や離宮や塔がある。

その周囲を内壁が囲み、その周囲に貴族街など城下町がある。

城下町を囲んで最も外側の城壁。

城壁外には空堀、跳ね橋で東西南に門がある。


 そして、今いるのは王城の離宮の一つ。北方離宮。

第二王子セッカード用の現在の居城。

王城本丸から北側にある、鬱蒼とした木々の多い静かな離宮。

いや、人目につかないように隔離した陰鬱な離宮だ。


8歳の頃にかなり悪戯がひどくなり、見境がないので離宮に追いやられた。

そして、専属のメイドなどがつけられ、本城での被害は減少した。

付けられたメイドは、平民やいろいろと事情のある者。

メイドの数が減っても、また増やせばいいとの考えのようだ。


 近くにいれば、どんな言いがかりをかけられるかわからない。

かと言って離れすぎては、呼ばれた際にすぐ駆け付けられない。

遅れれば、これまた暴力を振るわれる。


なので、微妙の距離感をメイドさんに取られている。

離宮の中に、ぽっかり人のいない区間が形成される。


訓練には都合がいいのだが。


 北方離宮内には、十数名のメイドさんがいる。

離宮外周には、見回りの兵士はいるが、基本離宮内には入れない。


 はあ、はあ、はあ。少し歩いただけで、息切れがする。

日課のウォーキングと、今はクールダウンにストレッチ。

やることないからね。


遠くから怯えながら監視しているメイドさんがいる。

まるで、呪術の意味の分からない踊りでも、目にしているかのように見てくる。



「ステータス、オープン」



「………くっ。」

何も表示はされなかったさ。


「プププ」に限らず、ゲームには基本キャラ毎のステータスがある。

これで、相手の強さや進行度がわかる。

ヒロインの持ち物に、相手の好感度などを確認できる魔道具があった。

育成、相手の力量を確認するのにも欲しい機能だ。

だがそんなスキルはない。


ただ、この世界はゲームが元になっている。

そして、魔道具という便利アイテムがある。

女神の事だから、似たような魔道具や便利アイテムがあるのではと、王城の宝物庫に向かった。


帝王の許可がいるとかで、王子なのに宝物庫に入るのを止められた。

でも、魔道具は別の保管庫にある様だ。



 前帝王が収集していた魔道具などがあるそうだ。

管理官に目録を見させてもらう。

20年間仕舞われたままとのことで、死蔵し誰も利用してない。

宝の持ち腐れ。


…ふむ、剣とか槍とか戦闘用が多い。

武器庫ではないのだな、と余計なことを考えながら見ていく。


燃え尽きぬ種火の小枝、…無限チャッカマンっすか。


おおっ。

湖を飲み干す古びた革袋、…アイテム袋じゃね。


やけに面倒な修飾語が付いたアイテム名で管理している。

ほかにも有用そうな魔道具が何個かあった。


 これかな、賢者の目。…眼鏡だね。

手に取ってみる。

少し大きいが、シルバーフレームで少し青みがかったレンズ。なかなか現代風。


かけてみる。普通の度のない眼鏡だ。

魔力を込めると、きゅっと顔幅に合わせ、いいサイズになった。

焦ったw拷問器具かと思ったわ。


管理官と門番を見て、再度魔力を込める。

いろいろと視界に表示される。

赤・青・黄色のバー、そのまま体力・魔力・スタミナ辺りかな。

その下に2桁の数字がいくつか表示。ステータスの雰囲気。


門番の二人は、赤いバーが長く、2番目と4番目の数字が大きい。

管理官は5番目の数字が大きい。

Strength、Vitality、Intelligenceになる気がする。


あー、スキルとかまでは表示されないか。

これでもかなり有用なアイテム、かなりはかどりそうだ。


 管理官に数点を借りることを告げる。

渋るが、強権と横暴と傍若無人にゴリ押す。

管理簿に、第二王子が小枝と古びた革袋と眼鏡を借りたとサイン。

どうせ誰も報告しないし、確認しないだろう。

また、借りに来よう。


借りパク確定です。



 さて、そのまま眼鏡をかけて、人物観察いろいろ眺めて回った。

結果、メイドさんにいやな顔をされ、また怯えられた。

視姦でもされているかの如く、ビクッと棒立ちになる。


調査なのでしょうがない。

胸を見ていようが、眼鏡に表示される数値は変わらないのだから。


※賢者の目の表示方法と、現状で確認した表示内容の解釈を追記。

※表示方法により、見え方が崩れる場合があります。


HP:■■■■■

MP:■

SP:■■■□□


?  :05

Str:27

?  :10

Vit:25

Int:15

?  :09

?  :03

?  :01


いくら見ても、胸のサイズは表示されなかった。


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