第13話 電話

トゥルルル…。

「あ、白黒ヤマトさんですか?荷物を送りたいんですけど、アパートまで来てもらえますか?荷物はダンボール箱2つです。住所は…」

玄関まで運んだダンボール箱を、実家に送ることにした。

すぐに宅急便はきてくれたから、玄関周りもスッキリしたままだ。

しかし、電話をかけ人を呼べるアパートになったとは…。我ながら素晴らしいと思った。

感極まる思いだった。


✤✤✤


「あ、もしもし?お母さん?私。うん。元気にしてるよ。ところでさ、ダンボール箱2つ、荷物送ったから、倉庫にでも入れて置いてくれる?うん。開けないでそのままでいいから。」

「ちょうどえがった。(ちょうど良かった)。ずづはよ、(実は)ふぐおがこうへい(福岡こうへい)のコンサートさ、いぐきしてんだ。(行くつもりなんだ)。そんではよ、(それで)オラも(私も)そっちさ荷物おぐったがら、(そっちに荷物を送ったから)。ひとばげ泊めでけろじゃ(1晩泊めて欲しい)」

「えー?いづくるの?」

「来週の土曜日だ」

「えー!」

「なにや、都合でも悪ってが(悪いのか)」

「いや、なんにもねーけど(無いけど)、今部屋の片付げすてで(片付けしていて)きたねじゃ(汚いよ)」

「いっこ、どーつごどね。ひとばげだもの。(全然大したことない。一晩だけだもの)オラねんどごさえあればえ、(私が眠れるところがあればいい)。あど、浅草さ行ってみでんだ(行ってみたい)案内してけろじゃ(案内して欲しい)」

「オラも浅草へは行ったごどね。んでもせっかくだがら、行って見るべし」

「まだちがぐになったら(また近くになったら)時間さ決めだら電話すっからよ」

「わがった」

「んで、まんつ(それじゃまたね)」

ツーツーツーッ…。


「どうもお母さんと話してると、こっちまで訛ってくる。調子狂うな…」


数日後、母親から荷物が届いた。中には少しの野菜と、すいとんの粉、それから寝袋が入っていた。

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