第4話 オシャレ

合コン当日。

さて、何を着て行こうか…。

やっぱり女性らしく見せるならスカートかな。

私はベットの上に山積みされている洋服の中から、スカートを探した。下の方にある服は?しわくちゃになっている。

そのしわくちゃの中から、黒のワンピースを探し当てた。結構お気に入りのワンピースで、小花柄が全体にあり可愛いと思い、一目惚れして買ったのを覚えている。

すぐ様臭いチェック。

うん。大丈夫。ファブリーナーでもかければ何とかなる。

胸元にはギャザーが少しあり、前かがみになってもガバガバしない。ウエスト部分はゴムが入っていて、ここに細いベルトで足長効果を出そうと思った。

幸い数少ないベルトも服に紛れてあったから、探す手間が省けた。


(バッグは…。全部黒じゃ暗すぎるしな…。ベージュがいいな。

さて、あのベージュのバッグはどこにあったっけ…)


私は物だらけの上をガシガシ歩き、クローゼットを散策した。が、そこには無かった。

今度はカーテンの辺りを探してみる。この辺にも少し洋服が散らばっていた。

上のゴミ袋をかき分け探してみるが、ここにも無かった。


(うーん。どこかな…。)


次はお風呂場まで足を踏み入れる。ここにはバッグが少し点在していた。

バッグやゴミ袋、ペットボトルをかき分け、奥を見ると、お目当てのバッグの持ち手が見えた。

私は持ち手を持ち引っ張りだした。

ガラガラとまた荷物が崩れ、頭の上に飲みかけのベットボトルが落ちてきた。

「痛っ!」

ベットボトルの中味は何だったのか、元の姿は見えず、ただ真っ黒の水のような物が入っていて、その上には青カビが浮いていた。

さすがに気持ち悪いと思い、キャップを開け、息を止めトイレに流す。そして物体が流れたのを確認すると、またキャップを閉め、その辺にポイっとほおり投げた。

お風呂場の廊下挟んで反対にキッチンがある。ファブリーナーはそこに限定でいつも置くようにしていた。

私はファブリーナーを手に取り、バッグとワンピースにかけた。

シュッシュッシュッ!


(いいんじゃない?)


これで嫌な臭いも飛んだ。



壁掛け時計を見るとあと1時間半しかない。

私は慌てて着替えをし、久しぶりのメイクをした。

「あら?メイクするとなかなかイケてるかも…」

自画自賛し、手ぐしで髪の毛を整え、アンバランスの足元を歩き、靴を探した。

「全部甘々の格好じゃ私らしくないかも…。この間履いた黒のスニーカーでいいか。靴なんて誰も見ないでしょ」

と、ぶつぶつ言いながら、黒いスニーカーを履きなだれ込んだゴミ袋を無視し、玄関の扉を閉めた。



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