第4話 〝ハンドガン〟

4.〝ハンドガン〟








ポンッきゃっち!


「よっと、これで100個目だな」


庭で訓練用の銃を使い遊びまくった結果、GPは全て〝訓練用非殺傷弾ハンドガンタイプ〟で使い切ってしまった。なので今は素手で倒せる『ふわぽん』の魔石でGP稼ぎをしている。


今日はGP稼ぎを始めて3日目の昼過ぎになる。毎日畑の世話をして仮想空間の学校へと行き、昼間からはGランクダンジョンで『ふわぽん』狩りだ。


GPいくつ貯めておこうかなぁ?


『ふわぽん』の魔石は一つで1GPなので今は100GPある事になる。『ふわぽん』を倒して手に入れた魔石はその場ですぐにGPへと変換しているので荷物になる心配はないので安心して狩り続ける事ができる。

荷物になる事はないが……荷物になる事が無いがためにやめ時がない。無限に狩り続ける事ができる。




名前:神薙 響 年齢:15


レベル:2 → 3


STR:10 → 11

VIT:7 → 8

AGI:8 → 9

DEX:12 → 14

INT:8 → 9

MND:7


≪スキル≫

<ユニーク>【GunSHOP】Lv:1 ▽





止め時が無いから気が付けばレベルも上がっていた、しかもステータスが全体的にあがるんじゃなくてスキルを使った訓練のおかげかDEXの数値が多く上がっている。


DEXは確か器用値だったかな?銃を扱うから器用になったって事か、そういえば弓を扱う人もDEX、器用値が上がりやすくなるんだったかな?銃も同じようにその部類に入るって感じか。


ステータスを上から順番に見ていきそのままスキル欄も開く。




<ユニーク>【GunSHOP】Lv:1 ▼


Lv:1 <GunSHOPを開いて売買が出来る> ▼

 武器:▼

   〝訓練用非殺傷ハンドガン〟5GP

   〝訓練用非殺傷サブマシンガン〟10GP

   〝訓練用非殺傷ショットガン〟10GP

   〝訓練用非殺傷アサルトライフル〟15GP

   〝訓練用非殺傷スナイパー〟30GP

   〝ハンドガン〟50GP~▽

   〝サブマシンガン〟75GP~▽

   〝ショットガン〟80GP~▽

   〝アサルトライフル〟100GP~▽

           ・

           ・

           ・

 防具:▽

消耗品:▽




「一番安い〝ハンドガン〟で50GP……〝実弾〟が10GPだったから最低でも60GP必要で……ん~余裕をみて200ぐらい貯めておこうかな?」


貯めるGPが決まったので『ふわぽん』狩りを再開する。





◇  ◇  ◇  ◇





「今日もそこそこ狩ったな~全部でいくつになったんだろう?」


『ふわぽん』狩りをし始めてから今日でちょうど一週間が経った。間に1日休息日をもうけて休んだ以外は毎日夕方まで『ふわぽん』を狩り続けた。


そのおかげで。

「263GPか、結構溜まったな」


家のソファーに座りTVから流れてくる音を適当に流しつつスキル欄を眺める。もう一度しっかりと上から下まで何があるのかを調べている所だ。


あー持ち運びのカバンどうしようかな?何かちょうどいいカバンあったっけ?


探索者として活動していくうえでどうしても必要なのがモンスター相手に戦うときに使う武器の問題がある。

そもそも日本には法律があり、アニメや漫画などに出てくるような剣を持ち歩くのは常識的に考えて危ない。


ダンジョンが世界中に現れてからどうしても武器を持ち歩く必要があり特例として探索者には剣や槍、棍棒や弓に、それこそ銃などの危険な武器を持ち歩く事を許可されている。


その代わりと言っては何だが、ダンジョンの外。一般の人が大勢いるような公共施設や道端などで武器を裸の状態で持つと捕まるし、警察に職質された場合などは任意などではなく強制的に話を聞かれることになる。

その時に探索者として活動している事を証明できないと捕まるなど、危険な武器を持ち運べる代わりに何かあれば一発でお縄だ。


まぁ常識的な人はそもそも外で自分の武器なんて見せびらかさないし。自分が疑われるような事をする人はいない。

そんな人はほとんどいないが、たまにいるから困る問題だ。


そんなわけで武器を持ち運ぶカバンが必要になるが、銃の場合は小さいし余ってるカバンでいいだろう。

むしろ【GunSHOP】スキルにカバンは売ってないんだろうか?


「お、ちゃんとこんな物もあるのか」


【GunSHOP】スキルを開いて調べていると防具の欄に銃をしまうホルスターが売ってあった。どうやら銃を扱う上で必要になる物は一通りそろっているようだ。

プロテクターやそれにつける追加のマガジンを入れるポケットなど。フルフェイスのヘルメットまである。


そういえば、銃に付けるアタッチメントが無いんだよな。


【GunSHOP】スキルを隅々まで見るが銃に取り付けるドットサイトやホロサイト。グリップなどの銃に追加で付けれる装備が見当たらない。


実際にある銃にはアタッチメントとかあるから【GunSHOP】スキルにもそういうのがあると思うんだけど……【GunSHOP】スキルは今Lv:1だしレベルが上がるとそういうのも増えていくんだろうか?楽しみだな。


【GunSHOP】スキル欄を眺めて必要そうな物をタップして買い物かごに入れていく。


〝ハンドガン〟に〝実弾〟と〝ハンドガン用ホルスター〟にそれを通すベルト、〝プロテクター〟にその下に着る服などもあったので買い物かごに入れていく。

必要になりそうな物を全て買い物かごに入れていくと合計で170GPになった。


購入っと。


購入完了ボタンを押すと目の前の机に光が集まり耀いていく。少しすると光がおさまりそこには先ほど購入した物が机いっぱいに置かれている。


早速購入した物を試しに着て付けてみる。


つなぎみたいな作業服を着ていきその上にプロテクターを付け、いつもダンジョンへ行くときに付けている防具も着ていく。右足の太ももに〝ハンドガン用ホルスター〟を取り付け、そこへマガジンを一度抜き取り弾が入っていない事を確認した〝ハンドガン〟を入れる。


一通り装備を見に付けたら姿見のある部屋まで行き全身を鏡に映して確かめる。


「サバゲー感が凄いなこれ。ちょっと恥ずかしいかも」


鏡に映るのはほとんどが黒い服になった自分の姿だった。唯一、ダンジョンへ行くときに着ている防具が銀色なので多少ましかもしれないが。おしゃれさの欠片もない恰好だった。


サバゲー感が凄く少し恥ずかしいがどこかかっこいいかもと思っている自分もいる。


「明日Fランクダンジョンに行ってみるか」


武器も手に入れたし次のステップに進む時が来た。と言ってもまだまだ簡単なFランクダンジョンだが。






◇  ◇  ◇  ◇






いつも通り自動運転のタクシーに揺られること1時間、暇な移動時間は動画サイトで他の人のダンジョン攻略動画みたりと時間を潰しのんびりとしていた。


と、いうわけでやってきましたFランクダンジョン【静寂の森】。ここにはウサギ型や鳥型などの動物型の魔物がいるダンジョンでスキルの持っていない一般人でも武器があればまず、死ぬことは無いぐらいのダンジョンだ。


まず、死ぬことは無いダンジョンだが絶対に死なないわけではない。年に数人は運悪く死者が出る。なのでいつもよりは気持ちをしっかりさせ油断しないようにいかなければならない。


そんな事を考えつつ目の前にある『日本ダンジョン協会山野支部』に入っていく。

Gランクダンジョンでも一応『日本ダンジョン協会唐沢支部』があったがあそことは違いここにはそれなりに人がいるからか結構な大きさの建物だ。


ほとんどが若い人だが、中には猟師っぽい恰好をした高齢の人もいる。ここ【静寂の森】ではさっき言ったようにウサギ型や鳥型のモンスターが出現する。そんなモンスターを倒した後、その身を解体して食料にしたり毛皮や羽根を装飾品にできたりするのでそれなりに需要がある、そういった理由で現役を引退した探索者が老後の孫へあげるためのお小遣い稼ぎや、退屈しのぎにここへやってくる。



協会支部内には正面に横へ広がるように受付があり、その前には椅子が並んでいて自分の番が来るまで待っていられるようになっていてまるで役所みたいになっている。


受付の前にある整理券を取り椅子に座って自分の番が来るのを待つことにする。


ダンジョン協会支部の裏手には解体所が併設されており、解体の苦手な人が手数料を払う事で専門の職員がモンスターの解体を代わりにしてくれる。

こういったところに来るとクエストや依頼の張り出してある掲示板があるんじゃないかと期待する人がいるかもしれないが。それはアニメや漫画、ゲームの世界だけだ。現実にそんなものはない。


日本ダンジョン協会が何かを依頼することはあるが。そもそもゲームのようなクエストや依頼などあれば、それはダンジョン協会が直接信頼できるクランなどへ依頼する。その中には協会側の人間以外の依頼も含まれているが。協会に直接そんな依頼を出せる人間なんて富裕層やコネのある人物しか無理な話で。

じゃぁ一般人の依頼は無いのかって言うと、そんなものは無い。


アニメや漫画、ゲームの世界で探索者や冒険者と言われる人達が一般の人達の依頼を受けるのはその世界にそれ専門の人達がいないからだ。


荷物を運んでほしい→郵便がある。

害虫を駆除してほしい→専門の業者がいる。


このように現代ではそれぞれ専門の人がいる。なのでいちいちそんな依頼をダンジョン協会へ出さない。


ではさっき言ったモンスターの肉や毛皮などの納品はどうなのかと言うと、それはそもそもクエストや依頼にして掲示板に張り出すまでもなく受付で売却できる。

売却された肉や毛皮などはダンジョン協会がそれぞれ流通させている。


なのでいちいち掲示板を出してまで依頼を出すことが無い。


ではダンジョン協会支部は何をするところかと言うと、モンスターの素材を売却してお金を貰う所だ。

それだけならこんなに大きな建物は必要なさそうだが。それは利用する側の意見でダンジョン協会側からすれば。ダンジョンを管理して。ダンジョン内へはいる探索者の管理もして。他にもこまごまとした雑務もありそれなりの建物が必要になる。


そんなダンジョン協会支部へダンジョンへ入る前に何しに来たのかと言うと。ここへは活動記録の登録をしに来た。


活動記録の登録をするとどうなるかと言うと、ダンジョン内で何かあった場合ダンジョン協会が助けに来てくれる。そのための登録をする。後は実績作りだ。


活動記録を登録してダンジョンを探索するとダンジョン内での活動が記録され、それが実績となり。ある程度の実績が積み重なるとダンジョン入場許可書のライセンスのランクが上がっていきさらに上のランクのダンジョンへ行くことができるようになる。

どういった技術で活動記録を見ているのかは分からない、謎技術だ。


ダンジョン協会へ監視されているようで嫌な気持ちになるかもしれないが。それはそれでちゃんとメリットが探索者側にもある。


ダンジョン内で倒したモンスターが記録され、それが実績になっていく。

ダンジョン内で緊急事態に陥った時などに、緊急連絡をする事によりダンジョン協会側の人間が助けに来てくれる。

例えばダンジョン内で他の探索者とモンスターの取り合いなどの争いになった場合。すぐにダンジョン協会の職員が駆けつけてくれて活動記録を遡り、どちらの言い分が正しいか確かめてくれる。


そうやって監視されている代わりに探索者の安全が保たれている。


ポーン


椅子に座って待っているとやっとこさ自分の番が来たようだ。整理券の番号と受付に表示された番号を見比べて間違えないように受付へといく。


「ようこそ『日本ダンジョン協会山野支部』へ」


「こんにちは、活動記録の登録に来ました」


「かしこまりました、それではこちらへライセンスをかざしてください」


そう言って受付の人がコンビニなどで使う電子決済の機械みたいなのを差し出してきたのでそこへダンジョン入場許可書のライセンスとなっている指輪を近づける。


ピッ


「神薙 響様ですね。登録が完了致しました。他にご用件はございますか?」


「いえ、無いです。ありがとうございました」


「ご利用ありがとうございました」


お礼を言って受付を離れる。これで後はダンジョンに入るだけだ。













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