怒る保護者
授業参観があった次の日、ゆりあを虐めた4人の生徒の重政冬子、脇田明、石塚真理子、工藤隆之介は担任の布川未来から怒られ、その次の日には、両親らを呼び出し校長からも厳しく注意を受けた。
布川未来や校長の口から鬼塚の名前が出た途端、親達は
「鬼塚は人の気持ちを考えられないんだ!」
「奴は私達の心を踏み躙った」
「牛鬼なんて所詮化け物だ!」
と口々に鬼塚を罵倒する言葉を発した。
帰宅後、それぞれの家庭で
「大丈夫だから。鬼塚さんに謝らせるようパパやママが何でも屋に行くから。安心して。あんな何でも屋なんて潰れちまえばいいから」
と各々自分の子供に優しく言った。
その翌日からずっと鬼塚に謝罪させるよう要求するようになった。
その度に、何でも屋は鬼塚を庇って
「鬼塚は席を外しております」
または
「鬼塚は体調不良で休みを頂いております」
と嘘をつく始末となった。
鬼塚は親達が来る度に事務所内のトイレなどに隠れるようになった。
親達が諦めて帰ると
「鬼塚さん、帰りましたよ」
伊万里が声をかけると鬼塚は安心して
「あー怖かった」
と出てくるのだった。
それから2週間後、本郷が来ない事を心配した山田夫人が何でも屋に行くと親達が再び
「鬼塚出せ!」
「化け物出てこい!」
「今日こそ謝ってもらうぞ!」
と怒鳴っていた。
唖然とした山田夫人に気づいた本郷は謝罪し、どうしてこうなったか経緯について話した。
「本郷さん来ないから心配したよ。まさか鬼塚さんがそんな目に遭っていたなんて。虐めたのは自分の子供なのに被害を受けた子に謝罪しないで鬼塚さんを責めるなんて最近の親は本当おかしいわ」
本郷は鬼塚が隠れている事も話し、山田夫人と共に何でも屋を出た。
「山田さんのお婆ちゃんに申し訳ない事をしましたね…」
伊万里が言うと
「そうね。山田さんのお婆ちゃんだけじゃなくて他の依頼人にも迷惑かけてる状態だわ」
一華が悲しんだ。
「警察呼んだほうがいいですかね…」
伊万里がドアを見つめると
「大事にするのはまずいよ」
一華は困った。
こんな日が続くと何でも屋を続けられないと感じた鬼塚は1週間何でも屋を休業する事にした。
そして、1週間開けた日に何でも屋に事件が起こった。
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