第53話
次の日……気分的に快晴。
ベットから起き出すと、雲助はまだ寝ていた。それを肩に置いてキッチンへと行くと、コルジンが朝食を作ってくれていた。
「ねえ、コルジン。賞金を半分にしても部屋は買える?」
コルジンは鍋に入れた大き目のスプーンをぐるぐる回し、
「ああ。買えるぞ。おチビちゃんは独り立ちしたいのかい?」
「うん。それと僕の面倒をいっぱいみてくれたし、原型館では僕を守ってくれたコルジンに何かプレゼントも買いたいん」
「へぇ。そいつはありがとよ……」
僕は少し間を置いて、
「今日から仕事は無くなっちゃうね」
「ああ。寂しくなるな。でも、この館の外へと出たら何か仕事を見つければそれでいい。あのキラキラの太陽の奴には絶対負けるわけにはいかないからな。いつか偉くなって太陽と勝負したいぜ……。どっちがキラキラ輝いているか。」
僕はテーブルへと着く。
コルジンがハムサンドバーガーをドッカとテーブルに置いた。
「今日はどうする?」
「まずはキャサリンおばさんの様子を見て、それからハリーおじさんに黄金の至宝を渡し、賞金を半分こにする規則を作ってもらう。そんな感じかな」
コルジンはハムサンドバーガーを大口を開けてかぶりつき、
「おチビちゃんは凄いや。でも、後でもいいから天使の扉へ行ってみんなに報告だ。もう仕事は終わりだってね。みんな喜ぶぞ!」
「あはははは」
コルジンは僕にウインクをした。
僕はこのおじいちゃんの館がとっても大好き……。
食事を終えると、今度はルージー夫妻のドアへと館の迷路を歩いて行く。
「おチビちゃんは偉いな……ルージー夫妻を助けてくれて、俺からもお礼を言うよ」
迷路を右へ左へ、コルジンは微笑んでいる。
「うん?そうかな……。あれ……」
そういえば、僕は遥か昔はルージー夫妻が嫌いでしょうがなかったんだっけ?
でも、今ではリグおじさんが大好きで、キャサリンおばさんが心配だ。
「おや、ハリーの部屋の奥の旅から戻って来たんだね?」
通りすがりのおじさんが目を丸くしている。
「うん。黄金の至宝をゲットして、コルジンの部屋から行った時のある場所まで、一とっ飛びさ」
僕は嬉しくて、黄金の至宝をかざした。
「へえ。それは凄い。おまけに100万クレジットかー」
おじさんはかなり羨ましがったみたい。
でも、本当は命掛けで取って来たんだけどね。話すことがなけえれば他の人には知られないし、大抵の他の人は結果だけを誇張して、そっちへと考えがいきたがるものなのかも?
ルージー夫妻のドアへと辿り着いた。
そういえば、遥か昔はこの部屋へとは入りづらかったんだ。
何度かノックをすると、すっかり元気になって火傷が小さくなった顔のキャサリンおばさんが現れ、僕を抱き締めた。
「おお……。おりがとう!ありがとう!リスヘル!」
おばさんは感激して僕を強く抱き締めた。
「さあ、上がって。コルジンもよ。ロッテもいるわ」
キャサリンおばさんはもう陰気でもなく、リグおじさんもしかめっ面になることはもうない。
テーブルにコルジンと座ると、キャサリンおばさんがリンゴティーを持ってきた。
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