リズの号泣と男二人、紅茶店にて


 フランクとケーキ店でブルーベリーケーキを食べていたリズはダニエルが桃を包丁で切っているのを見て号泣し始めた。慌ててリズを抱き上げるフランク。ノウレッジ

に肉球でポンとひたいをたたかれても泣き止まず、困り果てたヤヌアーが「ンナ―――!(泣いてますよ!)」とダニエルを呼びに行った。



 「リズちゃん」桃のケーキを棚に入れ終えたダニエルが、フェイスタオルを2枚持ってきてローズに渡す。「え―――ん‼」リズの泣き声が店内に響き、ローズと強一が駆け寄って来た。

 「ナイフが怖いみたいね」ローズが言い、フェイスタオルでリズの涙をぬぐう。強一が広場に出て熱唱すると泣き止み、「へへへ」と嬉しそうな笑い声を上げた。



 「ナイフを悪用する事件が多い!」ヘレナが尾でテムズ川内に浮かんでいたジュースの缶をビニール袋に入れ、ジョリーに渡す。

「『マーブさんの電流つきで、他者を刺そうとすると粉砕され、持っている人は感電!』って説明文をつけて売ってもらいたい」ジョリーが缶を分別箱に入れながら

答え、強一と長机の上で木でできた車を走らせているリズをちらりと見た。


 「0~18歳までの子どもを持つ親と交際相手の同居・交際・再婚を解消する案

をレオナルドや五月たちがロンドン警察に出し、弥生さんと賢哉さんが実践する。

 親は交際相手や子どもと別れ、スマホやパソコンも使えない一人旅に出される」とアリゲーターガーのエリックが言い、「スマホ漬け生活も変わる」と付け加えた。

 


 

 亮介は紅茶店『Feel Relax』で茶摘と湯気の立つブラッドオレンジの果汁入り紅茶を飲みながら話していた。

 「コッツウォルズに行くと自然や動物が多くて、驚くぞ」「コッツウォルズ?」

 「羊の毛を使った靴下作りや、ソーセージなどを焼いて食べる体験もできる。美月と直美も歓喜するぞ」茶摘は亮介の肩をポンとたたき、ガイドブックを渡す。

 「ありがとうございます」ガイドブックをリュックサックに入れ、通りの雪かきに向かう亮介に「凍ってる道路はゆっくり歩くんやで!」とカケさんが声をかけた。

 


 大柄な黒柴の黒蜜を連れたイギリス人男性・ランニングと屋根に積もった雪にお湯をかけていると、411教室からババ抜きをやっている直美たちの声が聞こえてきた。

 猛雄が「上がれた!涙が出たわ」と歓喜し、ナターシャやトルコ、ミャンマーからイギリスに移住した5~19歳までの20人はサーモンのサンドウィッチとフランボワーズのマカロンを食べながら「頭の体操になるね」と破顔一笑。


 嬉しそうな顔で教室から出てきた直美の髪をなでながら、美月にもコッツウォルズに行くことを伝える。

 ホテルでガイドブックにボールペンで線を引きながら読み、『羊毛で靴下作り

体験』をやることに決まった。



 


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