きらきらやみやみ

物述

Prologue──『用法用量をお守りください』


 ※この作品はフィクションです。登場する人物・地名・団体はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。だけれども、登場する薬物はどうだ? オーバードーズという行為は? 


 ※この作品は、フィクションですが、一部には偶然ながら事実が含まれているかもしれません。はっきり言ってしまえば、このような行為を行っている人は現実に存在します。かなり大勢。果たして、彼ら彼女らを「フィクション」にして良いのでしょうか?


 「言えよ、天谷地。『当事者』のお前がさ」


 えっと、えっと。この作品は、合法・違法の区別なく薬物の乱用を推奨するものではありません。決して。特に違法モノは決してやってはいけません。ダメゼッタイ。それに合法であっても、クスリ自体、無くっても生きていけるんだったら、それに越したことはありませんよ。絶対に。……でも。……それでもわたしは。


 どうしようもない人たちにも現実は立ちふさがる。ああ、その現実が「フィクション」であったらば!


 だからクスリをキメる。あ、現実なんて楽ちんだ! 


「話は終わった? 今月末くらいにこれ官報に出そうだから、この紙さっさとやっちゃいなさいな、蓮奈ちゃん♪」


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 ブウウゥンンン…………。ブウウゥンンン…………。

One, Two, Three, Four.

I never could see any other way, never could see any other way.


空が藍色になる頃の草原のポストカードの右下に僅かな意識。


(背景音声、恐る恐る弾かれるピアノ。一音ずつの打鍵、夢のような)


(教会のベルの鳴る音)三回繰り返し。


……………………………………………

「時間という概念のない沈黙」

「『0秒』も『永遠』も同じだ。だが観測者にとっては永遠である。観測し直せば、もう『永遠』が経っている」


(ベルの鳴る音)三回繰り返し。


チリンチリンチリン(鈴の鳴る音)あと、六回繰り返し。


 縦五億光年幅九億光年に並べられた天国への階梯。

中古の聖書のかすれたインク。

(ガイガーカウンターの音)十五秒(一秒=一分=一時間)。正気じゃない。(汽笛、波、焚き火の弾ける音、同時に)


(サルガッソー海に埋まる人が喉を絞って出す声)例:゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ。


(拍手の音)十秒。やがて雨になる。



モノクロのニュース映

画、一九二九年九月ニュー

ヨーク。雑踏の誰が

わたし? 


あなたはわたしじゃない。


(雨音)三秒。

(雨音)二秒。

ピアノの音が止む。

(雨音)一秒。


ザアアアアアアアァァァァァァ…………

ブツッ……ピーーーーーーーーーー。


「おしまい」

「はじまり」

「さよなら」

「おかえり」


It's alright. You become naked.

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 ※この幻覚はフィクションです。登場するブッダ・キリスト・大日如来等は架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。



 ※所詮クスリなんてそんなもんです。効くのはたった数時間。結局は逃避。幸せの前借り。警察が言う、善悪とか倫理とか以前に、ただ無意味なんです。でも、一度やったら、無意味の渦から出られない。無意味だと知りながらも。



 やる必要がないなら、それに越したことはありません。絶対に。絶対に。



 あなたが健常者なら、絶対にこちら側には来ちゃ、駄目です。でも、すでに「手遅れ」な連中は、いったい、いったい、どうしよう、どうしようね。


 堕ちて、堕ちて、どこに墜落するか、わたしには分からない。

 

 この物語が始まります。よかったら垣間見てください。終わりながら始まり終わりに向かって堕ちていく、この物語を。

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