休日の日に

 今日は土曜日で学校が休みだから、朝……と言うか昼に起きた私は、まだよく回っていない頭で瑠奈に問い詰められている。


「れーな、聞いてる?」

「……聞いてる」


 一応聞いてはいる。あんまり話は入ってこないけど、なんとなくは分かった。

 私のスマホを覗いたら、生地の薄い服を着た女の子が写ったアイコンのゲームがあって、浮気だと。……昨日の私の瑠奈への信用を返して欲しい。

 いや、別に覗かれることくらいいいけどさ。……あ、でもゲーム消されたんだっけ……まぁ、入れてから一ヶ月も経ってないゲームだし、別にいいか。謝ってくれたし。


「……取り敢えず言うけど、浮気では無い」

「私に隠れて、あんなの入れてたんだから浮気でしょ」


 可愛いとは思うけど、ゲームの中の女の子だから……少なくとも私は二次元に本気で恋はしない。


「私が好きなのは瑠奈だから」

「う、嘘! 私の事が好きなんだったら、あんなゲーム入れないから!」

「私は恋人ができてもアイドルとかを推すタイプってことでしょ。瑠奈が嫌なら、もうそういうゲームは入れないから」


 別に私はそこまでゲームが好きって訳じゃないしね。瑠奈が消したっていうゲームもほとんどプレイしてなくて、言われて思い出したくらいだ。


「……約束、だから」

「分かった。……今更だけど、よくパスワード分かったね」

「えっ、う、うん」


 灯台もと暗し的な感じで分からないと思ってたのに。

 あれ、なんか瑠奈の反応がおかしい……もしかして重いと思われてる? 確かに、恋人の誕生日をパスワードにするってちょっと重いのかもしれない……


「パスワード変えた方がいい?」


 瑠奈がどう思ってるのか分からなかったので、取り敢えず私はそう聞いた。


「れ、れーながそれでいいなら、そのままでいいよ」

「そう」


 別に重いとは思われてなさそうだった。

 

 私が、朝食……お昼ご飯を食べに、リビングに行こうとしたところでスマホが震えた。……誰かからメッセージが着たんだと思った私は、スマホを開いて確認する。……変な疑いを掛けられないように、瑠奈にも見えるように。


「あ、お母さんからだ」


 わざわざメッセージで言ってくるってことは家に居ないってことか。


「なんてきてたの?」

「……お風呂が壊れたんだって」

「え……」

「だから今日はお風呂屋さんにでも行ってこいって」

「だ、だめ!」


 瑠奈が必死そうな顔をして、そう言った私を止めてきた。


「なんで?」


 私は素直にそう疑問を口にした。


「わ、私以外の人に、れーなの裸を見せるなんて絶対だめ!」

「いや、好きで見せるわけじゃないし、タオルも巻くから」

「それでもだめ! そもそも私以外の人の裸を見るのもだめ!」


 ……もしかして今日はお風呂に入るなって言ってる? あ、でもシャワーは壊れてないのか。だったら、別に大丈夫かな。

 そこまでお風呂に浸かるのが好きなわけじゃないし。


「だから、今日は私の家に泊まりに来てよ」

「え……」

「嫌? それとも、何か用事でもある?」

「いや、普通にいきなり過ぎて迷惑でしょ」


 瑠奈は良くても、瑠奈の親に迷惑がかかっちゃう。


「ちょっと待って。今聞くから」


 瑠奈がスマホを弄って、しばらくすると瑠奈のスマホが震える。

 

「大丈夫だって」

「……いや、でもやっぱり大丈夫かな」

「……なんで?」


 昔は普通に瑠奈の親とも喋れたんだけど、私がひねくれたからなのか、ちょっと話すのが苦手だったりする。

 ただ、それをバカ正直に言うのは、普通に失礼かもだし。


「……迷惑だから」

「ちゃんと今聞いて、大丈夫って返ってきてるから」

「……」


 瑠奈にコミュ障の気持ちを分かれって方が難しいか……それに昔は話せてたんだし。


「じゃあ、お邪魔させてもらおうかな」

「うん! 楽しみ」


 私も瑠奈と一緒にいられること自体は楽しみだよ。

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