大丈夫なはず
結局瑠奈は食堂には来なかった。
お昼休憩の時間がもうすぐで終わるからと、私と美菜璃は教室に戻ろうと歩いてたんだけど、私は忘れ物をしたと言って先に美菜璃に戻ってもらった。
本当は忘れ物なんてしてないけど、一緒に教室に入ったら、ただでさえ瑠奈から逃げてるのに、一緒に教室に入るのは煽ってるみたいになるとおもったから。
そろそろ戻っていいかな。
そう思って私は教室に戻ると、教室に入った瞬間に瑠奈と目が合った。
そうだった。席替えをしたから、瑠奈の場所はそこなんだった。
上手く私以外にバレないように睨んできてるな。……何が大事なメッセージでも送ってきてたのかな? だとしたら早くスマホの充電が切れたことを伝えたい。
……私は敢えて瑠奈の席の机の横を通り、通り過ぎる時に私のスマホを瑠奈の机に置いておく。
瑠奈は驚いた様子を見せて、スマホを手に取っていた。
これで私が瑠奈を無視した訳じゃないとわかってくれたと思うから、私は安心して自分の席に戻って、授業の準備をする。
授業が終わって、放課後になった。
私が帰ろうとすると、瑠奈が近づいてきた。……帰る方向は同じだし、という理由で私は瑠奈が近づいてきてるのを見なかったことにして、教室を出た。
早歩きで下駄箱に行き、靴を履いて学校を出ると後ろから瑠奈に声をかけられた。
「なんで逃げるの!?」
「逃げてないけど」
「逃げてるでしょ!」
「……人が多かったから」
「それは、今更じゃん」
……確かに今更感はあるけど。
「そう言えば、スマホ返して」
「……なんであの子と二人で食べたの?」
「あとこれ、弁当美味しかった」
そう言って私は弁当箱を瑠奈に返す。
「話をそらさないで!」
瑠奈は弁当箱を受け取りながらも、そう言ってくる。
「……美菜璃と瑠奈が二人いると、空気が悪くなるでしょ。主に瑠奈のせいで」
「そ、それは、れーなは私のなのに、あの子がれーなに変なことしようとするから」
「私は瑠奈の恋人ではあるけど、瑠奈のものではないから。それに美菜璃がしてくるって言うのは変な事じゃなくて、友達なら普通のことだから」
普通って言っても、美菜璃以外にまともに友達なんて出来たことないけど。
瑠奈は友達ではあったけど、好きな人だったから。
「……私とはしなかったこともしてるじゃん」
「それはこの前も言ったけど、好きだから、恥ずかしかったんだよ」
「……嘘」
「……嘘じゃない」
一応私たちキスまでしてるのに、私が瑠奈のことを好きなのってまだ疑われてたのか。
私がもっと積極的にならないとだめなのかな……いや、キスまでしてるんだし、かなり頑張ってると思うんだけどな。
私がそう考えていると、私の指に瑠奈の指が絡んできた。……恋人繋ぎってやつだ。
「これ、あの子としたことある?」
「あるわけないでしょ」
「よかった」
瑠奈は頭を私の方に寄せてくる。……嬉しい気持ちが無いわけじゃないけど、正直歩きづらい。
……でも、まぁ、瑠奈が喜んでくれてるならいいか。
そうやって歩いているうちに、家に着いた。
私と一緒に瑠奈も家に入り、暗くなってきたから瑠奈に帰ってもらったところで気がついた。
スマホ返してもらうの忘れてた。
……瑠奈が私のスマホを覗いたりはしないとは思うけど、もし覗かれたらまずいかな。……いや、流石に瑠奈もちょっと可愛い女の子が出てくるくらいのゲームがあるからって文句を言ってきたりしないはず。
それにパスワードもあるし、瑠奈はそんな子じゃない。
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