幼馴染は危機感が無い(幼馴染視点)

「れーな、入っていい?」


 私はれーなの部屋の扉をノックし、言う。

 この前みたいに、れーなが着替えてたら大変だから。


「いいよ」


 そう返事が返ってきたので、私はれーなの部屋に入る。


「何?」


 れーなが無表情でそう聞いてくる。

 無表情なのに可愛いなぁ。


「着替え貸して欲しくて」


 いつも思うけど、れーなは危機感が足りてないと思う。私がれーなの事が好きなのはもう分かってるはずなのに、なんの抵抗もなく自分の服を貸すなんて、どう考えても危機感が足りてない。


「下着も?」


 私は一瞬頭が真っ白になった。

 下着? 下着ってあの下着? 女の子の大事な部分に直接触れてる下着?


「……い、いいの?」

「上はサイズの問題があるから無理だけど、下は瑠奈がいいならいいよ」

「じゃ、じゃあ借してください」

「そっちの棚に入ってるから、適当に持って行って」


 ……危機感が足りて無さすぎるよ、れーな。

 だ、だって……棚ってことは下着とかも一杯入ってるってことでしょ……い、いいの? 見ちゃっていいの? れーな。

 棚を開けると、下着がいっぱい入ってた。れーな、こういうのも着けたりするんだ……だめだ、妄想しちゃう。……顔が熱くなってきてるのがわかる。早く選ばないと、れーなに変態だと思われちゃう。

 そう思った私は、服は適当に選んで、白の下着を手に取った。


「こ、これ借りてくね」

「うん」


 私はれーなにそう言って部屋を出る。

 部屋を出て、扉を閉めた私は、少しれーなの部屋から離れた所で止まり、れーなの下着を手に取る。

 い、いいよね……ちょっとくらい。

 そう自分に言い訳して私は、れーなの下着の匂いを嗅いだ。


「……れーな……れーな……れーな」


 呼吸が荒くなってくる。だめ、これ以上は、ほんとにだめ。

 私は匂いを嗅ぐのを辞め、深呼吸をして落ち着く。


 少し興奮が収まった私は、階段を降り、お義母さんにお風呂に入りますと言い、お風呂に入らせてもらった。


 そして、私はお風呂を上がり、体を拭く。

 そして、れーなの下着を着る。……すると自然と私の手が下の方へ行ってしまう。


「ハァハァ……」


 い、一回だけ……一回だけ、だから。

 


 ……してしまった。れーなの下着を着ながら、してしまった。

 ……取り敢えずこのままでいる訳にもいかないので、私は髪を乾かす。

 髪を乾かした私は、れーなの服を着て、お義母さんに上がったことを伝えてから、れーなの部屋へ向かった。

 罪悪感が凄い……でも、こんなの我慢出来るわけないよ。れ、れーなもれーなだよ。普通、いくら幼馴染でも下着なんて貸さない。いや、私がれーなに貸してほしいって言われたら貸すけど、れーなが私に貸すのは色々と違ってくる。

 

 私はれーなの部屋の扉をノックして中に入る。

 れーなを見ると、罪悪感が強くなってきた。


「ごめんれーな、私もベッド行っていい?」


 つい反射的に謝ってしまったので、それを誤魔化すためにベッドに言っていいかを聞いた。

 ベッドに行きたいのは本心だし。


「いいけど、私もう寝ようとしてたんだけど」

「私も寝るから」

「一緒に寝るの?」

「……違うの?」


 今日はお泊まりなんだから、一緒に眠るに決まってると思ってたんだけど。


「瑠奈がしたいようにして」


 れーなはどうでもいいようにそう言う。

 私の事、まだ何とも思ってないんだ……と心が痛くなったけど、仕方ない。女の子同士だし、幼馴染なんだから。

 今がそうでも、未来では違ってるから……だから、大丈夫。

 私は自分に言い聞かせるようにそう考えると、れーなに向かって言う。


「じゃあ、一緒に寝よ?」

「うん。電気消してから来て」


 私はれーなに言われた通りに電気を消すと何も見えなくなった。

 ゆっくりれーなの方へ向かおうと考えていたら、れーながスマホでライトをつけてくれた。……こういう所が好きなんだよ。れーな。


「ありがとう、れーな」

「ん」


 れーなは褒められると、口数が明らかに少なくなる。こんな所も可愛い。

 そう考えていると、れーなが布団を少し持ち上げてくれた。……ここに入ってってことだよね。


「お、お邪魔します」


 れーなと同じベッド……同じ布団……子供の頃は何回か一緒に寝たことがあったけど、それとは全然違う。

 心臓が凄い早く動いてる……れーなに聞こえてるかもしれないと思わせるほど音がうるさい……な、何か言わないと。


「あ、暖かいね」

「そりゃ、私がずっと入ってたし」

「う、うん。……れーな、もうちょっと近づいていい?」


 私はれーなに何とも思われてないのを利用しようと思い、勇気をだしてそう言った。


「……だめ」


 なのに何故か断られた。なんで? れーなは私の事なんとも思ってないでしょ? じゃあ、なんで断るの?


「うん……」


 気がついたらそう返事をしながら、れーなに抱きつこうと近づいていた。

 れーなが奥へ逃げていくけど、同じベッドなんだから、逃げ場なんて無い。

 逃げ道がなくなったれーなに私は抱きつく。

 そして、私の腕がれーなの胸に当たった。


「え……」


 そう声を出したと同時に、私はれーなから一気に距離を取っていた。

 れーながブラジャーをつけてなかったからだ。……つまり私はノーブラのれーなの胸に触ってしまったことになる。


「な、なんでブラつけてないの!?」

「瑠奈も今つけてないでしょ」

「そ、そうだけど、それは今持ってないからで……れーなはあるじゃん!」

「寝る時邪魔だし」

「い、いつもつけてないの?」

「いや、学校行く時とかはつけてるよ」

「あ、当たり前でしょ」


 だめだ、本当にれーなの危機感が無さすぎる。学校に行く時はつけてるって……そんな当たり前のことを真剣な声で言わないで欲しい。もし、つけてないなんて言ったら怒ってたよ。


 と、とにかく、謝らないと。


「れ、れーな……その、さ、触ってごめん」

「何が?」


 ……気がついてない? そ、そんな訳無いでしょ。だ、だったら……胸を触られても気にしないってこと?


「む、胸触っちゃったでしょ」

「うん。ごめん」


 私が改めてれーなに謝ったら、何故かれーなから謝られた。


「な、なんでれーなが謝るの?」

「いや、貧相なものを触らせてしまって」

「そ、そんなことないから!」


 ひ、貧相って……れーなの胸は確かに控えめかもだけど、綺麗な形してるし、触り心地も良かった。腕に当たっただけでそう思えるんだから、相当だよ。って、違う! 何考えてるの私。

 と、とにかく、れーなの胸に事故とはいえ、触れちゃって、嬉しかったし……


「でも、反射的に離れてたじゃん」

「そ、それは……だって、好きな人の、胸触っちゃったら、だ、だれだってああなるでしょ!」


 私は顔が熱いのを我慢しながらそう言う。


「だ、だから……触っちゃってごめん」

「いや、いいけど」

「え」


 いいの? もっと触っちゃっていいの? 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る